UMPIRE DEVELOPMENT CORP. - 最新エントリー
Welcome Guest 
UDC
メインメニュー
ログイン
ユーザー名:

パスワード:


SSL パスワード紛失

新規登録
OFFICE & SHOP

〒108-0073
東京都港区三田3-2-1
弓和三田ビジデンス310

10:00 - 18:00
定休日:土・日、祝祭日

TEL/FAX:03-3453-5917
E-Mail:info@umpire-dc.org
URL:www.umpire-dc.org

http://www.umpire-dc.org/

ルール・クイズ - 最新エントリー

【176回】怒りを買う理由がある

カテゴリ : 
クイズ
執筆 : 
udc_taro 2013-7-17 14:45
こんにちは。濱野です。

日米大学野球で国際親善試合なのに残念なことが起きたようです。
私は直接試合を見ていないので、いろいろ調べました。四回の死球で日本の選手が激昂したことから、不穏な空気になったようです。

アメリカ人にはどこまで行っても「Baseballはアメリカで生まれたスポーツ」という意識があると思います。日本に野球が輸入されて100年以上の歴史があるといっても、この意識は決して覆せません。

日本人が相撲や柔道に持っている意識と似ていると思います。大相撲に日本人の横綱がいなくても、外国人には極めて理解し難いだろう「品格」という抽象的概念を求めますし、柔道にしても、五輪競技となった今でも外国人選手に時折見られる一本を狙いに行かず、しっかりと組まずにポイントだけを取りに行くようなスタイルには違和感を覚える日本人は私だけではないと思います。

それと同じような、言葉では説明しにくい「特別な感覚」がアメリカ人にはあってそれを外国のプレーヤーが侵してしまうと衝突が起こるということです。

■クイズ176(ビギナー)■

ということで、今回はその試合の映像から出題です。



米国チームの三塁手が本塁打を打った日本人選手に怒りをぶちまけています。この野手の行為は勿論褒められたものではありません。映像では写っていませんが、一塁付近で大きなガッツポーズをしたためと報道されていますが、他にも、米国チームの神経を逆撫でする行為をこの打者はしてしまいました。映像にもその行為はきちんと記録されています。

さてそれは何でしょうか?映像再生前の静止画にその場面が写っているので極めて易しい問題になってしまいましたが、考えてみて下さい。


○● 前回の回答(A項? B項?)●○

正解は
オブストラクションA項で三塁を与える
でした。

--------------------------------------------------------------------------------------
7.06(a) 走塁を妨げられた走者に対してプレイが行なわれている場合、または打者走者が一塁に触れる前にその走塁を妨げられた場合には、ボールデッドとし、塁上の各走者はオブストラクションがなければ達しただろうと審判員が推定する塁まで、アウトのおそれなく進塁することが許される。

【注3】たとえば、走者一塁、打者が左翼線に安打したとき、左翼手は一塁走者の三塁への進塁をはばもうとして三塁へ送球したが、一塁走者は二塁を越えたところでボールを持たない遊撃手と衝突したような場合、審判員が遊撃手の走塁妨害を認めれば、オブストラクションを宣告して、ボールデッドにし、一塁走者に三塁の占有を許す。
--------------------------------------------------------------------------------------


上記の規定に関わらず、外野からの送球に関しては基本的にB項が適用されると考えておいた方が良いです。

ここで何度も解説しているように【注】というのは、日本の規則独自に規則委員会が理解の助けになるように補足説明をしてくれています。私はこの【注3】の更なる補足説明を致します。

すぐ前で、外野からの送球は、基本的にB項が適用されると書きましたが、当然例外的にA項となる場合もあります。条件は二つ。

1.オブストラクションが発生した段階で、外野手が走塁を妨げられた走者が進もうとしていた塁に向かって、既に送球しているか、あるいはまさに送球しようとしている状態(ボールを持って腕を振っている状態)になっていること。この態勢になっていなければ、「走塁を妨げられた走者に対してプレイが行なわれている」とは言えません。他の塁に送球する可能性があるからです。

2.その送球が実際に塁に届いて、走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われること。外野手からの送球は、他の内野手がカットして他の塁に転送してしまうことも多いです。そうなれば、「プレイが行なわれる」という定義から外れてしまいます。

ということで、送球の起点が外野からの場合、A項を適用するにしても送球の行方(本当にその走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われるのか)を見なければならないので、即時にボールデッドにできないという事情があるのです。

さて、ここまでの解説を踏まえて、設問に戻ります。
設問は上記二つの条件を満たしているので、外野手からの送球ですがA項を適用することになります。会員さんの質問では、現場の審判は「オブストラクションが無くてもアウトだった」つまりB項で試合を進めたそうですが、実際はA項で走者を三塁に生かさなくてはなりませんでした。

※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。

★UDC野球ルールクイズ委員会

【175回】A項? B項?

カテゴリ : 
クイズ
執筆 : 
udc_taro 2013-7-8 13:28
こんにちは。濱野です。

関東は急に暑くなりました。皆様のお住まいの地域は如何でしょうか?私も昨日、猛暑日のグラウンドに出かけ、終わってから水のようなシャワーを浴びても一時間ほど汗が引きませんでした。現役時代のブログにも書いたのですが、私はこの高温多湿の日本の夏の経験があったので、フロリダのルーキーリーグ、ガルフコーストリーグのシーズンの暑さなど、全く大したことありませんでした。これからの季節の野球審判は熱中症の危険と隣り合わせとなりますので、みなさまもお気をつけて下さい。

■クイズ175(エキスパート)■

今回は頂いた質問を少し改変して、皆様にシェアします。

無死走者一塁。ヒットエンドランが掛かっていました。右打者はきれいに流し打ち、ライト前の安打になりました。右翼手がボールを捕って三塁に投げようとした瞬間、三塁を狙った一塁走者と遊撃手が接触しましたが、一塁走者はそのまま走塁を続けました。右翼手から直接三塁手にボールが届き、かなり余裕をもってアウトになりました。

さて、あなたが審判ならば、どのような裁定を下しますか?

○● 前回の回答(二塁手は難しい。)●○

正解は
二塁に滑り込んだときに塁に体の一部が届くか、否か
でした。

--------------------------------------------------------------------------------------
公認野球規則
7.09(e) アウトになったばかりの打者または走者、あるいは得点したばかりの走者が、味方の走者に対する野手の次の行動を阻止するか、あるいは妨げた場合は、その走者は、味方のプレーヤーが相手の守備を妨害(インターフェア)したものとして、アウトを宣告される。

6.05(m)野手が、あるプレイをなし遂げるために、送球を捕らえようとしているか、または送球しようとしているのを前位の走者が故意に妨害したと審判員が認めた場合。(打者はアウトになる)
【原注】この規則は攻撃側プレーヤーによる許しがたい非スポーツマン的な行為に対するペナルティとして定められたものであって、走者が塁を得ようとしないで、併殺プレイのピボットマン(併殺の際、ボールを継送するプレーヤー。すなわち遊撃手-二塁手-一塁手とわたる併殺なら二塁手、二塁手-遊撃手-一塁手の併殺ならば遊撃手がピボットマンである)を妨害する目的で、明らかにベースラインからはずれて走るような場合適用されるものである。
--------------------------------------------------------------------------------------


野球規則に書かれているのは、上記の文章だけです。これだけを読んでしまうとジョーンズ選手のスライディングは守備妨害となり、既にアウトになった走者の妨害で打者走者にもアウトが宣告されるべきであるかのように思えてきます。実際、日本のアマチュア野球ではこのようなスライディングは許されておらず、プロにおいても日本人選手でこのようなスライディングをする選手はあまりいません。

しかし、上記の文章は「明らかにベースラインからはずれて走る」というところが少し曖昧なのでアメリカの審判マニュアルにはそこがしっかり明記されています。

--------------------------------------------------------------------------------------
PBUC MANUAL 7.4 INTERFERENCE BY RUNNER ALREADY PUT OUT
If any batter or runner who has just been put out or any runner who has just scored, hinders or impedes any following play being made on a runner, such runner should be declared out for the interference of his teammate. The runner should be able to reach the base with his hand or foot if he is attempting to break up a doulble play.

7.4 既にアウトになった走者の妨害
 アウトになったばかり、あるいは得点したばかりの走者が他の走者に対するプレイを妨害した場合、チームメイトの妨害によってその走者もアウトになる。もしダブルプレイを崩す企てをする場合には、走者は手あるいは足がベースに届かなくてはならない。
--------------------------------------------------------------------------------------


例えば身長180cmのプレイヤーがいて、その手の長さが80cmなら二塁ベースから260cmに渡って6.05(m)に運用に関しては走者の走路となるわけです。

上記の引用は、私の現役時代のマニュアルの文章で、今のマニュアルとは違う項目になっていますが、書かれている内容には変わりありません。最新のものをお持ちの方は68ページを御覧ください。

ルールの話は以上です。日本の場合、審判イコール指導者というケースも少なくないので、敢えてここで大きく脱線します。

私はこの規定のために、遊撃手よりも二塁手は難しいポジションであると思います。どちらもピヴォットマンとしてダブルプレイを完成させるのに重要なポジションですが、遊撃手は他の野手からの送球を捕って一塁手へ転送する間、ずっと一塁から走ってくる走者の動きが視野に入っています。対して二塁手は、三塁手や遊撃手の送球を捕るときは一塁走者の動きを見ることができず、送球のために一塁手の方向を見たときには既に一塁走者がすぐそこに来ているという状況が殆どです。

それでも日本の(アマチュアの)野球では、二塁キャンバスの一塁を向いた側面をだけを避けてステップすれば足を刈られることはないでしょう。しかし、野球が国際化した現在では二塁ベースの両側の約2.5mは走者が走ってくるとの認識で、二塁手は守備をしなければならないと思います。

具体的には、国際化した野球の場では、どんな場合でもダブルプレイにおいて二塁手は右足で二塁を踏むべきではなく、また、走者が走ってくる範囲にステップすべきでなないということです。もしそれをやってしまうとどういうことになるかを例示すると、





このプレイがなかったら、岩村選手はまだメジャーで活躍できていたかもしれないと思うと、残念でなりません。右足で二塁を踏むと必然的に両足が走者の走路に入ってしまうことになり、これが足を刈られ大怪我をするという根本の原因なのです。西岡選手はせっかく右足で塁に触れていたのに、走者の走路にステップしてしまい足を刈られてしまいました。西岡選手が「塁の両側の2.5Mは危ない」という認識を持っていたなら、一塁に転送するための足のステップは違ったものとなっていたはずです。

前回の出題で紹介したライオンズの山崎選手の足も、刈られる場所にありました。ジョーンズ選手からしてみてら、「何故ここに足があるの?」という感じかもしれません。

二塁手の怪我をしない動きを挙げておきましょう。映像再生前の静止画の二塁手の位置を見て下さい。ここに足を置いておけば、足を刈られることはないと思いますが、如何でしょうか?youtubeで「5-4-3 doubleplay」で検索しましたが、この例と違う足運びをしているMLBの二塁手は一人もいませんでした。



こうすれば、必然的に体が(走者から見て)後ろに残ることになり、すべてのプレイを二塁の後方で行うことになります。このようにすれば、走者がどのようなスライディングをしてきても接触は起こらず、仮に接触があったとしてもスライディングの結果走者のスピードは落ちているはずなので、ベースの前方で足を刈られるよりは怪我の可能性も少なくなるということです。デメリットとしては、やはり一塁への距離が右足で踏むよりは遠くなるので、二塁手にも遊撃手同様の強肩が求められるということです。

ブルージェイズのホセ・レイエス選手の怪我が癒えて、川崎選手は二塁手として出場する機会が増えると思います。川崎選手が多くの先駆者と同様に足を刈られないように祈るばかりです。

とにかく、二塁手は「走者が塁に向かってまっすぐ滑ってこない」ことを前提にプレイをすべきですし、指導者も国際化時代の野球で、怪我しないためにどういうプレイが必要かをジュニアの時代から教えていくべきではないでしょうか?

今回は審判としてというよりは、アメリカ野球を目の前で見てきた人間としての意見を書かせて頂きました。

※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。

★UDC野球ルールクイズ委員会

【174回】二塁手は難しい。

カテゴリ : 
クイズ
執筆 : 
udc_taro 2013-7-1 14:47
こんにちは。
濱野です。

総会にお越しいただいた正会員の皆様、貴重なご意見ありがとうございました。

更新が途切れて申し訳ありません。
過去に取り上げた題材、条項を再び取り上げることを避けて来ましたが、そうすると更新が難しくなってくるということが今回分かったので以前に書いたことも躊躇せずに書こうと思います。

■クイズ174(エキスパート)■

という訳で、私がこの欄を担当するようになって最初に書いた主題をまた取り上げます。



上記の映像では、涌井投手のアームバンドはともかく、アンドリュー・ジョーンズ選手の走塁はプロ野球では合法です。では、合法と違法(守備妨害でアウト)との線引きはどこになりますか?あなたが二塁塁審で、監督が血相を変えて抗議に来ていると想定して説明してください。

○● 前回の回答(判定の変更)●○

正解は
1から5全ての選択肢
でした。

--------------------------------------------------------------------
STANDARDS FOR REMOVAL FROM THE GAME

6.Use of histrionic gestures (i.e.,jumping up and down, violently waving arms or demonstrations) while arguing with an umpire, or stepping out of the dugout and making gestures toward an umpire, are grounds for ejection. Throwing anything out of a dugout(towels, cups, equipment,etc) is ground for automatic ejection.

7.Actions by team personnel specifically intended to ridicule an umpire are grounds for ejection (i,e., drawing aline in the dirt to demonstrate location of a pitch).

<拙訳>
6.審判と議論する間に、演技がかった、わざとらしい動作(飛び跳ねたり、激しく腕を振ったり、実演行為)は退場の理由となる。ダグアウトから何か(タオル、コップ、用具など)を投げ入れることは退場の理由となる。

7.チームの人員が特に審判を馬鹿にする意図で行った行為(即ち、投球の位置を実演しようと地面に線を書く行為)は退場の理由となる。

------------------------------------------------------------------


退場になるかどうかはさておき、いずれの動作も「演技がかった、わざとらしい動作」で、「審判を馬鹿にする意図」が若干含まれていますよね。前回も書いた通り、選手たちは、審判をからかうことも楽しみのうちなのかもしれません。審判が不愉快だと思うことは選手はやってはいけないのです。そのような行為を、嫌々ながらでも審判自身が受忍してしまうことが、審判のイメージを悪くするのだと思います。どのレベルにおいても、誇りを持って審判するために、我々審判の方が変わっていくしかないと思います。

※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。

★UDC野球ルールクイズ委員会

【173回】"Show UP" と" "To redicule an umpire"

カテゴリ : 
クイズ
執筆 : 
udc_taro 2013-6-10 15:46
こんにちは。濱野です。

昨日も某所で審判をしてきたのですが、久々に監督と口論してしまいました。
そのチームが守備についているとき、2アウトで2ストライク後の投球を打者が見逃す度に、内野手が球審である私の判定を待たずにベンチに帰ろうとするのです。

私は「ボール」の判定をした後、タイムを宣告して内野陣に「帰ろうとしたのはどういう意味?投球判定が間違っているってこと?」と言いました。監督がベンチから「ストライクだと思ったのだと思います」と代わりに答えました。「あなた方は審判じゃないし、不愉快だから止めなさい」と注意したところ、「そんなのいいじゃねぇかよ!みんなやってんだろ!こっちは楽しくやってるんだから」と監督が口調を変えました。「相手チームはやってないよ!お前だけが楽しけりゃいいのかよ!俺は楽しくないよ!試合に残りたいなら俺が止めろっていうことは止めろ!」というような具合です。

直接、判定に異議を唱えている訳ではないですが上記の行為は審判を"ridicule"(悪意をこめて馬鹿にする)ことになるので退場となっても仕方ない、少なくとも警告の対象になる行為です。

退場になった例


日本の野球界ではこのような行為に対して、選手も指導者も、また審判自身も鈍感です。
ですから、このチームの監督が言ったように「みんなやっている」ということになるのだと思います。実際は「みんな」ではなくマナーの悪いチームだけではあるものの、その数は決して少なくありません。

「控えめ」な人が好かれるのが、日本の国民性です。試合中に選手や監督に嫌な思いをさせられても我慢をしてしまう審判がほとんどなのでしょう。だから「みんながやっている」という状況が続いてしまうという悪循環です。日本におけるスポーツマンシップ確立のために、まずは、審判が選手や監督の不愉快な行為に対して「不愉快だ」と声を挙げることが大事ではないでしょうか?強気に出る分、審判として舐められないように日々の研鑽を欠かすわけには行かなくなります。「あの審判偉そうにしてたけど、下手くそだったな」なんて陰口叩かれたら悔しいじゃないですか。審判技術を向上させる努力が伴って初めて、強い態度に出られるのです。

恐らく、昨日のチームの監督は「あんなことで怒る審判、あいつだけだよ」と思っているに違いありません。皆さんにお願いです。私を一人にしないで下さい。審判の方が変わっていかないと、日本の野球界におけるスポーツマンシップの現状も今のままです。審判はゲームコントロールが第一の仕事なので、時には監督やコーチに傲慢に見られることは仕方がありません。日本のスポーツの審判に必要なのは「どんなことを言われても我慢する」覚悟でなく、「傲慢に見られることは仕方がない」と思う覚悟と諦めであると私は思います。

「ここは日本だ!」という声が聞こえてきそうですが、野球は2020年の五輪競技復帰を目指している国際的スポーツだということを忘れないで頂きたいと強く思います。


■クイズ173(エキスパート)■
枕話の続きです。以下の行為で、退場や警告の対象になるのはどれでしょうか?

1.打者が3ボールの後の投球を「ボール」と決めつけてベンチの方向にバットを投げる
2.打者がストライクの判定の後、打者が投球の軌道だと思った場所に線を描く
3.捕手が「ボール」の判定に後ろを向く
4.捕手が「ボール」の判定の後に、これみよがしにずっとミットを動かさず止めておく
5.既にアウトの宣告をされた打者走者が一塁塁審の方を見てピョンピョンと飛び跳ねる。


考えてみて下さい。

○● 前回の回答(判定の変更)●○

正解は
2.ボールインプレイで試合続行
でした。

≪解説≫
このプレイについてはこの欄でも数回取り上げているのでクドイかなと思ったのですが、それにも関わらずまだ浸透していないようなので更に取り上げることにしました。

--------------------------------------------------------------------
6.05
(k)一塁に対する守備が行なわれているとき、本塁一塁間の後半を走るに際して、打者がスリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走って、一塁への送球を捕らえようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた場合。この際は、ボールデッドとなる。
 ただし、打球を処理する野手を避けるために、スリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走ることはさしつかえない。
【原注】スリーフットレーンを示すラインはそのレーンの一部であり、打者走者は両足をスリーフットレーンのライン上に置かなければならない。
------------------------------------------------------------------


この6.05(k)は、野球規則の中でも最も誤解されているものの一つです。

スリーフットレーンの外側を走って一塁での送球を捕えようとする野手の動作を妨げるとは、以下の三種類の行為が考えられます。

1.捕球しようとする野手に体当りする

そもそもこの規定は、一塁手に体当たりして落球を誘発する行為の禁止を目的につくられました。本塁での激突プレイについての議論が日本では最近話題になっていますが、アメリカは良くも悪くもマッチョな文化ですから一塁においても過去には激突プレイが行われていたということです。本塁での激突プレイはほとんどの場合、既に捕手がボールを保持してホームプレート上に立って、走者を待ち構えているという状況で起こります。ある程度予見可能なのです。しかし、一塁でのフォースプレイの場合は一塁手は送球を捕るのに精一杯で、向かってくる走者のことまで気が回りません。まして一塁手はフォースプレイで一瞬でも早く捕球するために体を送球の方向に伸ばしているので、ぶつかられたら大怪我になります。

2.良い送球が送球が走者に当たる
3.打者走者が一塁で良い送球を捕えようとする野手の視界を一時的にでも遮ったことにより、捕球が不可能になる

体当たり行為については、送球の起点は関係なく打者走者にアウトが宣告されますが、2および3では、送球の起点が捕手の方向に限定されます。というのは、送球線と走路が一致あるいは近接しない限り、上記の現象は起こらないからです。ですから、三塁ゴロを捌いた三塁手からの送球がスリーフィートレーンの外を走っていた走者に当たったからといって妨害でアウトとはなりません。

【原注】と矛盾するのでは?という質問が有りそうなので、先に答えておくと、この【原注】が書かれたのは2007年、つい最近のことです。この原注は前半部分のみが大事です。スリーフィートレーンを定義しているだけで、後半の「両足がスリーフットレーンのライン上にあれば、妨害が宣告されることはない」という意で、原注が入っても本文の解釈には変更はありません。


★UDC野球ルールクイズ委員会

-PR-
春から新たに野球審判を始める方、ぜひ見て下さい!オンラインショップでも
扱っています。
-PR-

【172回】スリーフィートレーン

カテゴリ : 
クイズ
執筆 : 
udc_taro 2013-5-27 15:45
こんにちは。濱野です。

 内川代表と八丈島に講習会に行って、先ほど帰って来ました。羽田空港からわずか40分で東京とは(八丈島も東京都ですが)雰囲気の違う、エキゾチックな土地に着いてしまうのです。
 人口約8000人の島ですが、野球を始めとするスポーツがとても盛んなそうで、参加者の皆様も皆さん熱心に取り組んでいただきました。
 焼酎(私は全く飲めませんが)や海産物など食べ物も美味しいですし、八丈富士と三原山という2つの山の景色も美しく、温泉もあるみたいなので、今度は是非観光で来てみたいと思いました。
 八丈島の皆様ありがとうございました。また呼んでくださいね。

■クイズ172(ビギナー)■
お約束通り今回はドリルドリルドリルの復習です。超基礎に戻ります。

Q:右打者がフルスイングしたが、打球は捕手の前にボテボテと転がった。捕手はボールを拾って一塁に投げたが、とんでもない悪送球になり。打者走者は二塁へ達した。しかし、打者走者は一塁へ向かうとき、ずっと内野内、ほんの少しフェア地域に入った場所を走っていた。捕手は「打者走者が邪魔になったから、投げにくかった!」と球審に抗議し始めた。

1.守備妨害で打者走者にアウトを宣告する
2.ボールインプレイで試合続行
3.打者走者は退場となる
4.ファウルとなり、打者打ち直し

考えてみて下さい。

○● 前回の回答(判定の変更)●○

正解は
2.ボークの宣告において、投手が投手板を外していたかどうか
3.打球が直接外野のフェンスを越えたか、それともフィールドで弾んだのか。
5.落球があったかどうか。
でした。

どのようなときに判定を変えて良いのか、または変えてはいけないのかがPBUCマニュアルには記載されています。皆様の団体も判定をどのようなときに変えるべきなのか、その規定を手続を定めておいたほうが良いでしょう。

≪解説≫
--------------------------------------------------------------------
5.11 CREW CONSULTATION AND GETTING THE PLAY RIGHT
As the Casebook Comments to Official Baseball Rule 9.00 pointed out, the first requisite as an umpire is to get all decisions ultimately correct. Umpire dignity is important- but never as important as getting play right. In line with this reasoning, the following guidelines should be followed:

1 An umpire is urged to seek help when that umpire’s view is blocked or positioning prevents such umpire from seeing crucial elements of a play. An umpire is also encouraged to seek help in instances when that umpire has doubt and a partner has additional information that could lead to a proper ruling.
2 Official Baseball Rule 9.02(c) states, “No umpire shall criticize, seek to reverse or interfere with another umpires decision unless asked to do so by the umpire making it." Therefore, except in special situations such as those referred to below, the umpire making the call must be the one to seek assistance of a partner
3. In a limited number of situations, a partner may have crucial information that is unknown to the umpire making the call. When a partner is certain that the umpire making the call could benefit from such additional information, the partner should alert the other umpire that there is additional, important information that should be shared.
While the mechanic of bringing this information to the attention of the umpire who made the call is left to the crews (walking towards the partner, inconspicuous signal, etc.), crucial, potential call-changing information should not be withheld on a play that has clearly been missed. Nevertheless, the ultimate decision to change a call rests with the umpire who made the call.
Plays such as the following lend themselves to the philosophy described on the previous page:
1. Deciding whether a fly ball that left the playing field was fair or foul
2. Deciding whether a batted ball left the playing field for a homerun or a ground rule double.
3. Cases where a foul tip is dropped by the catcher, causing it to become a foul.
4. Case s when an umpire clearly errs in judgment because a ball is dropped or juggled after a tag or force.
5. Spectator interference plays
6. Balks called by an umpire who clearly did not realize the pitcher’s foot was off the rubber.

GUIDELINES:
1. When an umpire seeks help, the umpire should do so shortly after making the call. There should not be a lengthy argument with the manager that is followed by a crew conference about the call.
2. When an umpire seeks help. the conference should always take place away from players and managers. It is suggested that the entire crew meet, as there are cases when an "unlikely" umpire on the crew may have pertinent information.
3. Some judgment calls are not subject to reversal. These include: steal and other tag plays (except if the ball is dropped without the umpire’s knowledge); force plays (when the ball is not dropped and foot is not pulled); and balls and strikes (other than checked swings). Also, some calls cannot be reversed without creating larger problems. An example is a catch/no catch situation with multiple runners.
4. Umpires may use their judgment to take any necessary steps to correct a play (within guidelines) following a crew consultation in which the original decision of the umpire was changed.
5. Umpires may place runners where necessary, ignore tag up or base running violations that were a result of the original call.
6. Managers are not entitled to a second opinion simply because they dispute a call.

<拙訳>
5.11 審判員の協議と、判定を正しいものへと変更する場合

公式野球規則9.00の審判員に対する一般指示にあるように、審判としてまず要求されているのはすべての決定は最終的に正しいことである。審判の尊厳は重要である。 しかしプレイを正しく見ることほどはに重要ではない。判定の変更はこの哲学に沿って、以下のガイドラインに従う必要がある。

1.審判はその審判の視界がブロックされたとき、または位置が悪かったために、プレイの重要な要素を見られなかった場合、他の審判の助けを求めるように勧奨されている。また、審判が自らの判定に、疑いを持っており、他の審判が適切な判定につながる可能性のある追加情報を持っているのではないかと思うときは、積極的に他の審判の助言を仰ぐべきである。

2.公式野球規則9.02(c)は、 "裁定を下した審判員から相談を受けた場合を除いて、審判員は、他の審判員の裁定に対して、批評を加えたり、変更を求めたり、異議を唱えたりすることは許されない。。"と規定している。したがって、このような下記に言及された特別な場合を除いて、判定を下した審判がパートナーの助けを求めるべきである。

3.限られた場合において、パートナーは、判定を下した審判が判らない重要な情報を知っていることもあるだろう。パートナーが判定を下した審判がそのような追加情報を役立てることができると確信しているときは、判定を下した審判に対して、判定を下した審判と共有すべき、重要な追加情報があることを知らせる必要がある。
 判定を下した審判員に対して、この重要な情報があることを知らせる方法は各審判団に(パートナーに向かって歩いて行くとか、選手や監督に対しては目立たないシグナルを送るとか)に委ねられている。そのプレイにおける潜在的に判定を変えるような、決定的な、情報が明らかに見落とされた情報は判定を下した審判に伏せられるべきではない。しかし、判定を変更するための最終の決定は、判定を下した審判にかかっている。

次のようなプレイは前のページで説明されている原則に叶っている。
1.競技場を出たフライボールがフェアかファウルだったかどうかの決定
2.打球が競技場をでたときにホームランだったかグランドルールダブルであったかどうかの決定。
3.ファウルチップを捕手が落球したために、ファウルと判定されなければならない場合
4.ボールがタッグやフォースプレイの後に落球またはジャグルをしたため、審判の明らかに判定に誤りが生じた場合。
5.観衆による妨害が発生したとき。
6.明らかに投手の足が投手板から外れていたことに気づかなかった審判によって宣告されたボーク。

ガイドライン:
1.審判が他の審判に助けを求めるときは、判定を下した直後に行うべきである。判定に関する審判団の協議の後に監督と長く議論をしてはならない。
2.他の審判に助けを求めたとき、協議いつも選手と監督から離れて行われるべきである。そして全審判員が集まって協議をすべきである。というのは "ありそうもない(情報を持っていそうにない)"審判が適切な情報を持っている場合があるからである。
3.いくつかの判定は変更の対象にはならない。盗塁や他のタッグプレイ(落球が判定を下した審判がわからなかった場合を除く)、フォースプレイ(落球がない場合と足が離れていない場合)、およびボールとストライク(チェックスイング以外)。また、いくつかのコールの変更は更に大きな問題を引き起こす。例えば、複数のランナーがいるときのキャッチ/ノーキャッチの変更がそれである。

4.最初の判定を変更すると決定した協議の後に、審判団は必要な措置をその判断で行なっても良い。
5.審判団は必要に応じて、変更前の判定の結果行われたタッグアップや走塁の規則違反を無視して走者の位置を決めても良い。
6.監督は、抗議をしたからという理由だけでセカンドオピニオンを受ける権利は与えられていない。
------------------------------------------------------------------


マニュアルの翻訳に時間がかかって、一週飛んでしまいました。
 判定を変更する手順について、マイナーリーグでは、上記のような規定があるわけです。

 判定の変更の「ガイドライン」はプロ野球だけでなく、日本のアマチュア野球でも妥当なところが規定されていると思います。例えば、誰がどうみても落球しているのに、他の審判が助けに行かない(助けてよいのかわからない)ために余計にトラブルが大きくなったりすることを経験したことは無いでしょうか?

 あくまでマイナーリーグの内規ですが、皆様の団体で「判定の変更」について話し合うときのたたき台にはなるのではないかと思います。参考になれば幸いです。

★UDC野球ルールクイズ委員会

-PR-
春から新たに野球審判を始める方、ぜひ見て下さい!オンラインショップでも
扱っています。
-PR-

【171回】判定の変更

カテゴリ : 
クイズ
執筆 : 
udc_taro 2013-5-13 14:43
 こんにちは。濱野です。

 前回の問題に登場したBrewersのJean Segura内野手は、過去にはLA Angelsの傘下のマイナーリーグチームにいました。実は、私がマイナーリーグの現役のときのブログにも登場します。私は彼の盗塁のために警告試合にしなければならず、レポートを書くハメになったことと、やはり身体能力の高い良い選手だったので良く覚えています。
 私と同じフィールドに立っていた選手が、MLBの舞台に立っているのを見るとやはり応援したくなります。Segura選手も今回のことでルールを学んだと思うので、賢いプレーヤーになってほしいものです。

■クイズ171(エキスパート)■
 今回も先週にひき続いてMLBでのプレイについての皆様の質問に答えます。基礎問題は来週から再開です。


 
さて、以下に上げる事象のうち、他の審判の判定について助言を与えて良いのはどれでしょうか?複数選択可です。

1.フォースプレイで走者の足が早かったか、ボールが早かったか。
2.ボークの宣告において、投手が投手板を外していたかどうか
3.打球が直接外野のフェンスを越えたか、それともフィールドで弾んだのか。
4.投球がストライクゾーンを通過したかどうか。
5.落球があったかどうか。

考えて見て下さい。

○● 前回の回答(逆走)●○

正解は
・このような逆走は認められるのか?
・走塁放棄ではないのか?でした。

現場の審判団の以下の規則を適用しました。

≪解説≫
--------------------------------------------------------------------
7.08(i)「走者が正規に塁を占有した後に塁を逆走したときに、
守備を混乱させる意図、あるいは試合を愚弄(ぐろう)する意図が
明らかであった場合。この際、審判員はただちにタイムを宣告して、
その走者にアウトを宣告する」。

7.01
【原注】走者が塁を正規に占有する権利を得て、しかも投手が投球姿勢に入った場合は、元の占有塁に戻ることは許されない。
------------------------------------------------------------------


要するに、審判団はブルワーズのSegura選手の逆走を、自分がアウトになったと勘違いしたためであって、「守備を混乱させる意図、試合を愚弄する意図」ではなかったと解釈しアウトは宣告しませんでした。
 また、この試合の審判団は、Segura選手が逆走を始めたときは、投手は投手板上におらず、ボールすら持っていなかったので7.01【原注】の状況ではなく、元の専有塁に戻ることができた状況であったと考えたのでしょう。

 私は個人的には、理屈は通るので上記のルールの適用で問題ないと思いましたしこの件で問い合わせ頂いた方にはそのような回答、解説をしました。

ところが、ご覧になった方も多いと思いますが、UDC会員の唯一のマイナーリーグ審判の一木が、彼のブログにてこのプレイを解説しています。

私が確認したところ、一木のいるマイナーリーグだけではなく、MLBでも今後このようなプレイが起きた場合は、走塁放棄として走者をアウトにするそうです。(リンク先はESPN.comです。もちろん英語)

MLB・MiLBの統一見解なので今後はこのようなルールの解釈となります。
走塁の目的を考えれば、無意味な逆走は確かに走塁放棄ですね。ルールの精神に則って考えることが大事なのだと反省しています。

★UDC野球ルールクイズ委員会

-PR-
春から新たに野球審判を始める方、ぜひ見て下さい!オンラインショップでも
扱っています。
-PR-

【170回】逆走

カテゴリ : 
クイズ
執筆 : 
udc_taro 2013-5-8 11:04
 こんにちは。濱野です。

 多くの方に新しいPBUCマニュアルの購入のお申込みを頂きありがとうございます。ルールブックには明記されていない詳細な事例が載っているので、とても勉強になると思います。あくまでもアメリカのプロ野球の内規ではあるものの、ベースボールの母国での解釈こそ、世界共通ルールであるという現状です。皆様にお願いしたいのは、買っただけで満足することなく英語に負けずに辞書を片手に頑張って実際に目を通して頂きたいと思います。
 多少ベースボールの専門用語も混ざっているので、普通の辞書だけだと厳しいかもしれません。とりあえずMLBの用語解説を紹介しますが、他にも「Baseball Slang」とか「Baseball Terminology」などと検索すると分かりやすい用語集が見つかると思います。


■クイズ170(エキスパート)■
 今回はクリニックでの過去問基礎演習をお休みして、複数の方から問い合わせのあったプレイを取り上げます。



漠然とした出題で恐縮ですが、このプレイで何が問題なのかを考えてみて下さい。
 

○● 前回の回答(手で投球を打つ?)●○

正解は
4.ボールデッドとし、打者のストライクカウントを一つ増やす。
でした。

≪解説≫
--------------------------------------------------------------------
5.09 次の場合にはボールデッドとなり、走者は一個の進塁が許されるか、または帰塁する。その間に走者はアウトにされることはない。
(a)投球が正規に位置している打者の身体、または着衣に触れた場合ー次塁に進むことが許された走者は進む。

2.73 strike「ストライク」ー次のような、投手の正規な投球で、審判員によって“ストライク”と宣告されたものをいう。
(e)打者が打った(バントの場合も含む)が、投球がバットに触れないで打者の身体または着衣に触れたもの。

------------------------------------------------------------------


上記の通りです。公認野球規則に基づいて行なわれる野球の試合では、バット以外の手、足、体でボールを打つことはできません。当たり前の話だと思いますが、如何でしょうか。

 ただ、特に日本で幅広く行なわれている軟式野球では、投球に当たってもそれほど痛くないことから、判定をする上で、バットに当たったのか手に当たったのか判別がしにくいという事情はあるとは思います。しかしながら、だからといって正しくないルールの適用がまかり通ってしまうということはあってはならないことだと私は思うのです。

「実際は手に当たったけれども、審判はバットに当たったと判断し試合が進んだ」というのはありえますが、ルールで「手首から先はバットの延長」なんてことはあり得ません。

何故このような質問が来るのか、正直、理解できなかった部分があるのですが、インターネットで検索してみました。

私はインターネットで疑問を調べる事自体は否定しませんが、誰が回答者なのかはこのような正解のある質問については吟味されるべきです。このような無責任な回答が「ベストアンサー」となってしまうシステムにも問題があることは言うまでもなく、意外に影響力が強いだけに改善を求めたいところです。。

ただ考えなくてはならないのは、多くのプレーヤーが過去に審判にそのような判定と説明を受けたから、この結果になったのだろうと推察されます。このような野球ルールにおける都市伝説撲滅をしていかなければならないと思いますし、そのためにはこの「UDC」という組織横断的な野球審判員の集団が、プレーヤーや野球に関わる多くの人に周知されなければならないと思います。

★UDC野球ルールクイズ委員会

-PR-
春から新たに野球審判を始める方、ぜひ見て下さい!オンラインショップでも
扱っています。
-PR-

【169回】手で投球を打つ?

カテゴリ : 
クイズ
執筆 : 
udc_taro 2013-5-1 12:23
 こんにちは。濱野です。
黄金週間真っ只、関東地方は天気にも恵まれています。杉や檜の花粉も終わり、寒すぎず暑すぎ、野球を含めて外で活動するには今が一年で一番良い季節ですね。

UDCの看板商品(他所でも扱いはありますが)のエバンス・プロテクターがアメリカESPNで紹介されました。



 アメリカ文化はマッチョなイメージがありますが、マスクパッドの「Team Wendy」にしても、この商品にしても怪我を防ぐための商品開発は日本よりも進んでいると思います。

■クイズ168(ビギナー)■
前回の出題に関連して、ある会員の方から審判初心者の方からの質問を転送して頂きました。選択肢もその中のものです。

【問】グリップを短く持った打者が、投球を誤って手で打ったらどうなりますか?という質問をされました。以下のうちのどれかだと思うのですが、

1.ボールデッドとし、反則打撃で打者アウト。
2.打者が怪我をして走れなければ死球、打者が走り出したらインプレイ。
3.手首から先はバットの延長と解釈するのでインプレイである。
4.ボールデッドとし、打者のストライクカウントを一つ増やす。

 考えてみて下さい。
 出題者にとっては、このような初心者の方の質問は有難いです。初学者がルールを勉強していく上でどこにつまづくのか、何が難しいのかを把握することができます。私にもそのような頃があったはずですが、なかなか思い出すことができません。
 ですので、「こんなこと訊いたら恥ずかしいかな」などと思わずに、どんどん質問箱を使って頂きたいと思います。但し、今回のように皆様と共有させて頂くことがあるということだけはご了承下さい。

○● 前回の回答(バントとは?)●○

正解は
2.死球として打者に一塁を与える。
でした。

≪解説≫
--------------------------------------------------------------------
6.08 打者は、次の場合走者となり、アウトにされるおそれなく、安全に一塁が与えられる。(ただし、打者が一塁に進んで、これに触れることを条件とする)

(b)打者が打とうとしなかった投球に触れた場合。
 ただし、(1)バウンドしない投球が、ストライクゾーンで打者に触れたとき、(2)打者が投球を避けないでこれに触れたときは除かれる。
 バウンドしない投球がストライクゾーンで打者に触れた場合には、打者がこれを避けようとしたかどうかを問わず、すべてストライクが宣告される。
 しかし、投球がストライクゾーンの外で打者に触れ、しかも打者がこれを避けようとしなかった場合には、ボールが宣告される。

【付記】打者が投球に触れたが一塁を許されなかった場合も、ボールデッドとなり、各走者は進塁できない。

【注3】打者が投球を避けようとしたかどうかは、一に球審の判断によって決定されるものであって、投球の性質上避けることができなかったと球審が判断した場合には、避けようとした場合と同様に扱われる。
------------------------------------------------------------------


私も軟式野球の審判をする機会が増えてきました。守備側が打者にぶつけたくせに、私が打者に一塁を与えると、「今、バッター避けてないでしょ!」と物凄い剣幕で抗議されたりすることもあります。

そういう選手は、6.08(b)(2)だけを知っていて、【注3】を知らないのでしょう。

 また過去に他の審判が担当した試合で、類似のケースで打者に一塁が与えられなかったということを経験したのであろうとも推測できます。
当たっても大怪我をしない軟式野球では、打者席の一番ホームプレートに近いところに立って内角ギリギリの投球に故意に当たりにいく馬鹿者(言葉が過ぎたら謝ります)も沢山います。このような輩のために、本来「死球」として判定されるべき、打者が物理的に避けられなかった投球に当たった場合も、「避けていない」という理由で死球と認められないという事象が発生したのであろうということは理解できます。
 このようなスポーツマンシップを持たない選手のために、軟式野球では死球のルールの運用がベースボールで行なわれているものと違ってしまっている現状があるということです。

 少し脱線しましたが、皆様に審判としてご理解頂きたいのは、「故意に当たりにいく」のと「投球の性質上避けられなかった」では大違いということです。この区別が重要です。打者がピクリとも動かなかったとしても、球審が「打者が避けていても当たっただろう」という場合は「死球」となり、打者に一塁が与えられるべきです。

覚えておいて下さい。

★UDC野球ルールクイズ委員会

-PR-
春から新たに野球審判を始める方、ぜひ見て下さい!オンラインショップでも
扱っています。
-PR-

【168回】死球とは?

カテゴリ : 
クイズ
執筆 : 
udc_taro 2013-4-22 13:26
こんにちは。濱野です。

UDCが審判を受け持っている大学準硬式野球の春のリーグ戦が始まりました。実質上、関東近県で通える方に対してのみのお知らせになってしまい大変恐縮ではありますが、会員の皆様に実際に二人制で審判をして頂きます。全試合とは行きませんが、スタッフの都合のつく限り書く試合会場には行くようにはしており、査定してすぐにフィードバックを行います。多くはない金額ですが、審判料もお出ししています。通常のクリニックや講習会ですと、我々が皆様から受講料を頂きますが、このリーグ戦では、逆に皆様にお支払いして、更にフィードバックが受けられます。

一人でも多くの会員の方にご参加頂きたいプログラムです。


■クイズ168(ビギナー)■

リーグでも屈指の速球派投手が登板しています。打者は振り遅れまいとスイングの始動を早めにしています。投手の手元が狂ったのか、内角をえぐるような投球が来て、打者は為す術もなく投球に当たってしまいました。

1.投球を避けていないので、死球は認められない。ボールインプレイである。
2.死球として打者に一塁を与える。
3.わざと投球に当たりに行く欺瞞行為で、打者にストライクがひとつ追加される。

考えてみて下さい。

○● 前回の回答(バントとは?)●○

正解は
3.ファウルとして同じボールカウントで打ち直し。
でした。

≪解説≫
「スリーバント失敗」とした方も多かったのではないでしょうか?
前回の出題も、超重要です。もし実際の試合でこのプレイが起こったら、選手や監督、おそらく打者本人も含めてみんな「スリーバント失敗」だと思い込んでいるでしょうから、審判は正しくルールを適用すること自体にとても勇気がいる状況になると思います。「みんなアウトって思い込んでいるからいいや」では駄目です。審判だけは正しいルールの適用を貫かなくてはなりません。


ほとんどの方が、「バント」の定義を「バットのグリップでない太い部分を握ってバットに当てる行為」であるとか、「右手と左手を離してバットを握って当てる行為」であると勘違いしているようです。このように認識されている方は、今日限りそれを改めて頂きたいと思います。

では、バントとは何なのか?

--------------------------------------------------------------------
2.13 bunt「バント」―バットをスイングしないで、内野をゆるく転がすように意識的にミートした打球である。

------------------------------------------------------------------


上記の通りです。

規則は「バットを握る位置」とか、「両手の位置関係」などはバントの要件とはしていません。「バットをスイングしない」「(内野をゆるく転がすように)意識的にミート」という2つの要件のどちらも満たしたものが「バント」ということになります。

設問では「スイングをしないで」という要件は満たしていますが、打者は投球を「意識的にミートさせよう」とした訳ではなく、投球を避けようとした際にたまたまバットがボールに当たってしまったのです。両方の要件を満たしていないので、これは「バント」とは言えず、バントではないので、「スリーバント失敗」のアウトも成立しません。

ルールブックを良く読むと、知らないことってたくさんあるはずです。
審判として必ず知っておかなければならない重要な違いです。

★UDC野球ルールクイズ委員会

-PR-
春から新たに野球審判を始める方、ぜひ見て下さい!オンラインショップでも
扱っています。
-PR-

【167回】バントとは?

カテゴリ : 
クイズ
執筆 : 
udc_taro 2013-4-17 10:28
こんにちは。濱野です。

まず、「2013 OFFICIAL BASEBALL RULES」及び「MLB UMPIRE MANUAL」完売いたしました。昨年は仕入れた分が売れ残りましたが、今年は英語から逃げずにルールの深い理解を目指す方が増えたことを嬉しく思います。ありがとうございました。

また、フィンランド野球連盟のジョーンズ会長を始めとする私の欧州の友人達も参加したIBAFの会議も無事終了。ベースボールとソフトボールは「ダイヤモンドスポーツ」と一つの競技となったようです。

http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130414/bbl13041420150020-n1.htm
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2013/04/14/kiji/K20130414005612430.html

ベースボールとソフトボールが、五輪競技の枠を「空手」や「レスリング」などの日本が強いと思われる個人競技と争わなくてはならないのは皮肉なことではありますが、競技の更なる発展のために、ベースボールとソフトボールの五輪競技復帰を願わずにはいられません。


■クイズ167(ビギナー)■

無死走者一塁。2ストライク。監督はどうしても走者を二塁に進めたかったので、3バントを決行させました。しかし投球が頭の近くに来たので、打者はそれを避けようとした際に、両手を広げて持ったままのバットに投球が当たり、ファウル地域を転がった。この場合、

1.打者はいわゆる「スリーバント失敗」でアウトになる。
2.いわゆる「デッドボール、死球」で打者に一塁が与えられる。
3.ファウルとして同じボールカウントで打ち直し。

考えてみて下さい。

○● 前回の回答(アウトの種類)●○

正解は
2.アピールアウト
でした。

≪解説≫
「フォースアウト」とした方も多かったのではないでしょうか?
前回の出題は、超重要です。超という字に「々」をいくら追加しても足りない位重要で、選手はともかく審判は必ず理解しておかなければならない規定です。(まさか、選択肢3の「タッグアウト」を選択した人はいないですよね?)

何故かというと、第三アウトと得点の関係に深く関わってくるからです。
もし、このアウトが「フォースアウト」であるなら、昨年有名になった済々黌vs鳴門のプレイも無得点ということになります。



多くの方が、「フォースプレイ」の定義を走者とボールを持った野手が塁に触れるのがどちらが早いかが問題になるプレイであると勘違いしているようです。このように認識されている方は、今日限りそれを改めて頂きたいと思います。

--------------------------------------------------------------------

4.09 得点の記録
(a)三人アウトになってそのイニングが終了する前に、走者が正規に一塁、二塁、三塁、本塁に進み、かつこれに触れた場合には、そのつど一点が記録される。
【付記】第三アウトが次のような場合には、そのアウトにいたるプレイ中に、走者(1,2にあたる場合は全走者、3にあたる場合は後位の走者)が本塁に進んでも、得点は記録されない。
(1)打者走者が一塁に触れる前にアウトにされたとき。(6.05、6.06参照)
(2)走者がフォースアウトされたとき。(7.08e参照)
(3)前位の走者が塁に触れ損ねてアウトにされたとき。(7.10a、b、7.12参照)

------------------------------------------------------------------


では、フォースプレイとは何なのか?

--------------------------------------------------------------------
2.30 force play「フォースプレイ」―打者が走者となったために、塁上の走者が、規則によってその塁の占有権を失ったことが原因となって生じるプレイである。(7.08e)

7.08(e)打者が走者となったために、進塁の義務が生じた走者が次の塁に触れる前に、野手がその走者またはその塁に触球した場合。(このアウトはフォースアウトである)

------------------------------------------------------------------


上記の通りです。更に、「打者が走者になる」ということを更に具体的に解説すると、「インフライトではない打球がフェア地域に飛ぶ」ということです。フライやライナーの打球がまだ上空にあるとき、打者は既に一塁に向かって走りだしているでしょうが、しかしまだ、このプレーヤーのステータスは「打者」のままです。打球が最終的にインフライトでなくフェアになって初めて「打者走者」になり、他の走者にも進塁の義務が生じるということになります。

ですから、フォースプレイを私が定義し直すと、打者がインフライトでないフェアの打球を打ち、進塁の義務が生じて打者走者となったために、塁上の走者がその塁の占有権を失ったことが原因となって生じるプレイであるということになります。(打者が走者となったためことが原因で起こるプレイなので、一塁での打者走者に対するプレイも当然、フォースプレイということになります。)

このような説明をしても、設問のプレイが「アピールアウト」であると納得してもらえないことが多々あります。そういう主張をなさる方は以下の規定を根拠として持ち出してきます。

--------------------------------------------------------------------
【7.10原注】
-前略- アピールは言葉で表現されるか、審判員にアピールとわかる動作によって、その意図が明らかにされなければならない。プレーヤーがボールを手にして塁に何げなく立っても、アピールをしたことにはならない。-後略-
------------------------------------------------------------------


守備側は「一塁にボールを投げただけで、アピールをしていない」という事だそうです。走者が専有していた塁に送球するだけでは、守備側の意図が不明確であると。

一理あるように思えますが、実際は「飛球を直接捕球後、その走者が専有していた塁に送球する」ということ自体が「アピールとわかる動作」と解釈されています。ですから、このアウトはアピールアウトということになります。

フォースプレイとアピールアウトの違いについてお分かり頂けたでしょうか?
審判として必ず知っておかなければならない重要な違いです。

★UDC野球ルールクイズ委員会

-PR-
春から新たに野球審判を始める方、ぜひ見て下さい!オンラインショップでも
扱っています。
-PR-
E-learning
e-learningで審判のトレーニングだ!
パートナー・リンク
Umpire Clinic in Tokyo
2012 Jim Evans Umpire Clinic in Tokyo
UMPIRE ACADEMY
Umpire's Resource Center
Umpire's Resource Center
スペシャル・リンク
XOOPS Cube PROJECT
Powered by UDC © 2003-2016 Umpire Development Corp.