【番外編】済々黌-鳴門の試合でのタイムプレイ

ルール改正により、ルール・クイズ記事投稿時とはルールが変更されている場合がございます。
最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

今回はクイズではありません。 UDCの寄せられた質問とその回答、そして解説です。 私が珍しく多忙であった間に起きた出来事で旬を逃してしまいましたが、UDCの各種講習会に出て下さっている多くの方々から済々黌-鳴門の試合でのタイムプレイについてご意見・ご質問を頂きました。メールマガジン担当の藤原のところにも解説を希望する読者の声が寄せられたということなので、UDCの見解を表明しておきます。 まずは今回の済々黌-鳴門の試合のルール(第三アウトの置き換え)を迷うことなく適用できた審判団に賛辞を送りたいと思います。 これから会員の方々の質問を通じて、国際的標準の解説をいたしますが、あの試合の球審の方が行ったことを批判するとか揶揄するとかそのような意図は全くありません。誤解のないようにお願いいたします。 得点のときはまずは、本塁を指し示して「That run scores, that run scores」そしてネット裏の公式記録員の方に振り返り、「 score the that run!」と人差し指を上に上げます。そして走者の本塁到達よりも第三アウト成立が早ければ「No run scores! No run scores!」両手を上に上げて左右に振るというのが国際標準の得点の明示方法です。 ※YOUTUBEで見つからなかったので今回はニコニコ動画からです。動画上にコメントがオーバーラップして見にくい場合は画面右下の「・・・」を押していただくと映像のみになります。 上記映像の2:30くらいのところで球審の方が、本塁を小さく指差しているのがわかります。 こちらはMLBから。こちらは得点が認められなかったケースです。本当は同一条件(第三アウトがアピールプレイ、かつ得点が認められたケース)の映像を紹介したかったのですが、見つけられませんでした。 こちらの球審Tim Tschidaは第三アウトが成立するや否や、手を横に大きく振って記録席、放送席に得点でない旨知らせています。ですからテレビの実況アナウンサーもすぐに「No run」と状況把握できたようです。 ここまでを踏まえて、頂いた質問を二つ紹介します。 Q1.得点を防げるようなアピールが残っている場合でも審判員は得点の明示(メカニック、コール)をすべきでしょうか?というのは、ルールを知らないチームがダメもとでアピールすることを助長するような「ザッツ・ラン・スコア!」になりゃしないかと愚考したものですから。 A1.下記の公認野球規則をお読みください。 ——————————————————————————– 公認野球規則 4.09(a)【注1】第三アウトがフォースアウト以外のアウトで、そのプレイ中に他の走者が本塁に達した場合、球審は、その走者にアピールプレイが残っているか否かに関係なく、本塁到達の方が第三アウトより早かったか否かを明示しなければならない。 ——————————————————————————– 今回引用したのは、アメリカのルールブックにはない【隅付き括弧】の「注」です。アメリカでは審判マニュアルに同様のことが書かれています。つまり、第三アウトと得点の関係について明示しなさいということは日米で変わりがありません。で、この【注1】にアピールプレイが残っているか否かに関係なくと書いてあります。このケースで球審が知らせるのは「得点か否か」であって「アピールプレイが残っているか否か」ではありません。必ず得点か否かの明示はルールによって行わなくてはなりません。 Q2.今回、プレーヤーや観客にも分かるよう、もう少し大きく「ザットランスコア!」(又はホームインが遅かったら「ノーランスコア!」)とするべきだったのではと考えます。でないと、どちらかというと攻撃側に有利な感じがします。特に、中学や高校野球はチェンジになったら直ぐにベンチに戻るよう教育されているため、今回のようなアピール権を失ってしまうことが多いように感じます。もちろん、ルールを知っていれば、第三アウトを置き換えればよく、知らなかったのは残念だったね、とは思いますが…。知らなくても、攻撃側はラッキーとなりますし…。如何でしょうか? A2.おっしゃるとおり、守備側がルールを知っていればよかった話です。一方で、球審の方が本塁を小さく指差している様子が何ともさり気なく、上記の公認野球規則で使われている「明示」という言葉から受ける印象とは違う気もしました。守備側から「もし得点だと球審がはっきり示してくれていればアピールしたよ!」という抗議が来てもおかしくはない状況でした。そのような状況を作り出さないためにアメリカでは誰にでも判るように、明らかに示しています。 恐らく、セーフ・アウト・フェア・ファウルなどありふれたコールと違ってタイムプレイの後の得点か否かの明示方法について、ルールの【注】によってやらなければならないとされているにも関わらず日本ではこれといったものが確立されていないのだと思います。私自身の記憶を振り返ってみても日本で教わった記憶がありません。皆に分かるような明示の方法が共有されていれば、プレイの後にマイクを持って場内放送の必要もない訳ですし。 タイムプレイは、年に数回あるかないかのプレイではありますが、得点が絡むという点ではとても重要なプレイです。アメリカに倣うのが嫌という考えもあるのかもしれませんが、野球も国際化の時代です。国際的に確立された方法があるのならそれを取り入れるのが良いかと思いますが如何でしょうか? しかし乍ら、繰り返しになりますが甲子園という全国に生中継されている舞台で難しいルールの適用を成し遂げた審判団は凄いなと本当に思います。お疲れ様でした。 以上、回答と解説でした。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会 -PR- はっきり言ってもっと売れていいDVDだと思います!購入方法はこちら -PR-