【第104回】内野手が走者の視野をブロックした場合(エキスパート)

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こんにちは。皆様はどうおすごしでしょうか。秋も花粉症に悩まされている濱野です。私の場合、秋の花粉症は春よりも時期は短いのですが、症状が激しいです。昨年まではスギ花粉のピークの時期には日本を脱出できていたので、私にとっての花粉症は秋だけで済んでいました。NPBのポストシーズンが始まる頃、くしゃみが出始めると「帰ってきたな」と思ったものです。 ■ クイズ104(エキスパート)■ 走者二塁。遊撃手は捕手からの牽制球をもらいに二塁に入るようなそぶりをしながら、良く見てみると 遊撃手は故意に走者の前方を通り、走者の前で止まって走者の視野をブロックしているようです。審判は「もうやめなさい」と注意しました。その場では「済みません」と言いましたが、別のイニングで同じようなことをしています。 さて審判はどうすべきでしょうか? 1.フェア地域のどこに位置するかは守備者の自由であるので、審判は再び注意することしかできない。 2.オブストラクションA項。ただちに二塁走者に三塁が与えられる。 3.オブストラクションB項。遊撃手の行為により次のプレイで走者が不利益を被った場合は救済される。 4.遊撃手に退場を宣告する。 考えて見てください。 ○● 前回の回答(ボーク?ボール?)●○ 正解は・・・ 3.Aのみボークである。 でした。 【解説】 ある会員様が担当した試合で、Aのケースが実際に起きたことだそうです。「実際にボールが指から離れたので、偽投ではなく、牽制球の暴投と解釈しボークを宣告しませんでした。これで良かったのでしょうか」という質問を頂きました。そこで、今回の出題を思いつきました。 ————————————————————————————– 公認野球規則  8.05 塁に走者がいるときは、次の場合ボークとなる。 (b)投手板に触れている投手が、一塁に送球するまねだけして、実際に投球しなかった場合。 【注】投手が投手板に触れているとき、走者のいる二塁と三塁へは、その塁の方向に直接ステップすれば偽投してもよいが、一塁と打者への偽投は許されない。投手が軸足を投手板の後方へはずせば、走者のいるどの塁へもステップしないで偽投してもよいば、打者にだけは許されない。 ————————————————————————————– 野球規則には、これしか書いてありません。もう少し「偽投ができない塁」ということについて掘り下げて考えてみましょう。 ————————————————————————————– PBUC MANUAL 8.5 SPECIAL BALK REGULATIONS a) The pitcher shall be charged with a balk if he attempts a pick-off at first base and throws to the first baseman who is either in front of or behind first base and obviously not making an attempt at retiring the runner. However, there is no violation if the pitcher attempts a pick-off at second or third and throws to an infielder who is in front of or behind either of those bases (i.e.,this violation is only in reference to pick-offs at first base). 拙訳 もし投手が明らかに一塁走者をアウトにしようという目的でなく、一塁ベースよりも前、或いは後方に位置している一塁手に送球した場合はボークを課される。しかし、二塁または三塁での同様のプレイには罰則はない。(つまり、この違反は一塁への牽制球のときのみ問題となる) ————————————————————————————– 第80回の解説でも引用したマニュアルの文章です。投手板上からの一塁への牽制球については必ず、「走者をアウトにしようとする行為」が求められています。 では、「走者をアウトにしようとする行為」とは何でしょうか?この場合、「一塁でのタッグプレイ」に他なりません。 UDCのボークDVDにも上記のアンパイアマニュアルの文章の考え方の更に詳しい解説が為されていますので、お持ちの方は見て確認ください。 お持ちでない方のために説明すると、一塁手が(芝の敷いてある球場で)塁周辺のダートエリアを出て、芝の上で牽制球を捕ったらボークと判定されます。理由はそこで投手板上で牽制球を捕っても、一塁でのタッグプレイを直ぐに行うのは無理だからです。 日本の標準である内野が全ダートの球場では判断が難しいですが、標準的なダートエリアの広さは塁から13フィート、約4Mです。大人の野球では、目安として一塁から4メートル以上離れた場所への牽制球はボークと判定されることになります。少年野球ではグラウンドが小さいですから、その範囲は当然縮小されることになります。 設問Aのケースに戻って考えると、一塁への投手板上からの牽制球は少なくとも「ダートエリア」に届かないといけないのです。故意か否かは関係なく、一塁でのプレイをする意図がないと判断されボークとなります。 設問でのBのケースがボークではない理由は、Aのケースがボークであるという理由の裏返しとなります。三塁への偽投が認められているからです。きちんと踏み出して腕を振れば投げようが投げまいがそれは投手の自由です。ボールを持っている腕を振った結果、ボールがどこへ行こうとそれは成り行きで処理されるべきです。 今回の設問のAとBのケースは物理的には左右対称ですが、ルール的には正反対の結果となりました。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会