【第106回】ボークピッチが暴投に(エキスパート)

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こんにちは。濱野です。UDC設立8周年を迎えました。UDCが設立されたのとほぼ同時期に、私は心ならずもセリーグを離れることになりました。当時傷心の私が立ち直ることができたのは、UDCがあったからです。UDCという団体が無ければ、アメリカで仕事をすることも審判を続けていることも無かったです。今後もお世話になったこの団体に、私のわずかばかりの経験と知識をシェアすることで恩返しを続けていきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ■ クイズ106(エキスパート)■ 今回は三択です。 走者二塁。打者のカウントは3ボールズ2ストライクス。次の投球の際に投手は完全静止しなかったので、塁審はボークをコールしました。そのボークピッチはブレーキングボールで、打者は空振りしてしまいました。しかし変化球のキレが良すぎて、ホームプレートの前で地面を叩いて、捕手が捕ることはできず後逸しました。捕手がボールを追っている間に、二塁走者は三塁へ、打者は所謂「振り逃げ」で一塁へ向かいました。ここで、守備側の監督が「ボークの投球はカウントされないはずだ!打者は打席に戻せ」と抗議に来ました。あなたが球審ならばどのように対処しますか? 1.ボークの投球が投球としてカウントされるのは、塁が詰まっている場合の四死球の場合のみである。監督の抗議は正しいので、一塁に到達した打者を打席に戻す。走者三塁、カウント3ボールズ2ストライクスで再開。 2.打者が一塁に達し、他の走者も一つ進んだ。つまりボークは無かったものと扱われるので、監督にその旨説明して抗議を突っぱねる。 3.ボークの投球でストライクをカウントするのは場合によっては打者に不利になることもあるので、ボークピッチの所謂「振り逃げ」は認められない。この場合は一塁に到達した打者を打席に戻す。走者三塁、カウント3ボールズ2ストライクスで再開。(打者が振らずに四球だったら一塁に行けた。) 考えて見てください。 ○● 前回の回答(安全進塁権・・・)●○ 正解は・・・ 4.安全進塁権は取り消され打者アウト。二塁走者を戻す。二死二塁で再開。 でした。 【解説】 ————————————————————————————– 公認野球規則 6・06  次の場合、打者は反則行為でアウトになる。 (c) 打者がバッタースボックスの外に出るか、あるいはなんらかの動作によって、本塁での捕手のプレイ及び捕手の守備または送球を妨害した場合。  しかし例外として、進塁しようとしていた走者がアウトになった場合、及び得点しようとした走者が打者の妨害によってアウトの宣告を受けた場合は、打者はアウトにはならない。 【原注】打者が捕手を妨害したとき、球審は妨害を宣告しなければならない。打者はアウトになり、ボールデッドとなる。妨害があったとき、走者は進塁できず、妨害発生の瞬間に占有していたと審判員が判断した塁に帰らなければならない。しかし、妨害されながらも捕手がプレイをして、アウトにしようとした走者がアウトになった場合には、現実には妨害がなかったものと考えられるべきで、その走者がアウトとなり、打者はアウトにはならない。そのさい、他の走者は、走者がアウトにされたら妨害はなかったものとするという規則によって、進塁も可能である。このような場合、規則違反が宣告されなかったようにプレイは続けられる。  打者が空振りし、自然の打撃動作によるスイングの余勢か振りもどしのとき、その所持するバットが、捕手がまだ確捕しない投球に触れるか、または捕手に触れたために、捕手が確捕できなかったと審判員が判断した場合は、打者の妨害とはしないが、ボールデッドとして走者の進塁を許さない。打者については、第一ストライク、第二ストライクにあたるときは、ただストライクを宣告し、第三ストライクにあたるときに打者をアウトにする (2ストライク後の “ファウルチップ” も含む)。 ————————————————————————————– 上記の映像はスリーボールの後のストライクの投球なので設問の状況とは違いますが、打者が勝手に投球をボールと思い込んだようで、起きた出来事はほぼ同じだったはずです。 厳密に言えば、四球を得て打撃を終えているので打者の妨害とは言えないかもしれません。しかし、同じように三振して既にアウトになった打者も打撃を終えていますが、既にアウトになった打者の妨害は守備対象の走者がアウトになる責めを負います。この場合は同じ選手に二度アウトを宣告するわけにはいかないので、守備対象の走者がアウトになります。しかし、設問のケースでは本人はまだアウトになっていないので、当然アウトになることは可能です。四球を得て一塁までの安全進塁権を得たからといって、捕手に対する守備妨害が免責されるわけではありません。 四球のためバットを置いただけのように見えても、結果的に打席の外に出て捕手の守備行為をを妨害してしまえばアウトが宣告されます。もちろん、守備行為の対象になった走者がアウトになれば、妨害は無かったものとして扱われるので四球を得た打者走者は一塁へ行けることになります。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会