【第107回】安全進塁権その2/お知らせ (エキスパート)

ルール改正により、ルール・クイズ記事投稿時とはルールが変更されている場合がございます。
最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんにちは。濱野です。日本シリーズも始まりました。草野球も含めたアマチュア野球もだいたい11月で終わりではないでしょうか?私自身のシーズンの最終戦も11/27の日曜日となります。 その11/27の日曜日に私が審判する試合を主催者から快諾を得て、二人制の見学会とさせてもらえることになりました。私が球審、塁審は二人制の基礎は押さえている方と行います。 UDCが主催者ではないので、試合は選手の方の家族の方と一緒の観客席で 私たちの審判を見ていただいて、試合前と試合後に質疑応答に応じるという程度のものになることはご容赦ください。 UDCの2人制クリニックの前に、実際の試合で2人制審判とはどういうものか見ていただきたいと思っています。11月の終わりのナイトゲームなので寒いかもしれませんが、良かったらどうぞ。 今回は無料です。入退場自由です。当日、思い立って来ていただいても構いませんが、これを読んで行ってみよう!と思った方は、だいたいの参加人数を把握したいので、できれば前もって参加表明していただけると有難いです。 【開催日】2011年11月27日(日) 18:00から20:30頃まで 【会場】 天王洲公園野球場B面   http://asp.netmap.jp/map/2500212646.html 【交通】りんかい線(JR埼京線直通)天王洲アイル駅下車すぐ     東京モノレール 天王洲アイル駅徒歩5分     JR・京急品川駅から都営バス[品96乙]約10分 駅から近く交通至便です。 尚、当日、雨天などで中止の場合はtwitterでお知らせします。 http://twitter.com/#!/taro47 問合わせ・参加表明メールアドレス:info@umpire-dc.org 担当/濱野 他の場所でももっとこのような機会を持ちたいとは思っているのですが、UDCインストラクターの居住地の都合上、どうしてもこのような機会が関東地方に偏ってしまい申し訳ありません。 ■ クイズ107(エキスパート)■ 105回のクイズを見た方から、「こんなケースはどうですか」と尋ねられました。とても良い質問だと思うので、皆さんとシェアさせてもらうことにしました。 走者二塁、打者のカウントは1ボール2ストライクス。次の投球はキレの良いスライダーで捕手の手前でワンバウンドするようなものでしたが、打者は敢え無く空振り。捕手は捕れず、一塁方向に転がりました。捕手はそのボールをマスクを使ってボールを拾いました。二塁走者は進塁できませんでした。打者はしばらくその場で天を仰いでいましたが、捕手がボールを逸らしたことに気づかずにベンチの方に向かって歩き出しダートサークルを出てしまいました。 審判はどのような措置を取るべきでしょうか? 1.転がった投球に捕手がマスクを触れさせた瞬間に「タイム」を宣告、二塁走者に本塁を、打者走者に二塁を与える。 2.転がった投球に捕手がマスクを触れさせた瞬間に「タイム」を宣告、二塁走者に三塁を、打者走者に一塁を与える。 3.マスクを捕手がマスクを触れさせたときに、「That’s detached equipment!」と宣告。二塁走者が進めなかったので、タイムをかけて二塁走者に三塁を与えるが、打者はスリーストライクを得た後、インプレイ中にベンチに向かってダートサークルを出たのでアウトの宣告を受ける。 4.マスクを捕手がマスクを触れさせたときに、「That’s detached equipment!」と宣告。二塁走者が進めなかったので、タイムをかけて二塁走者に三塁を与え、打者には一塁を与える。 考えて見てください。 ○● 前回の回答(安全進塁権・・・)●○ 正解は・・・ 2.抗議をうけつけない。 でした。 【解説】 ————————————————————————————– 公認野球規則 8.05 ペナルティ 本条各項によってボークが宣告されたときは、ボールデッドとなり、各走者は、アウトにされるおそれなく、一個の塁が与えられる。 ただし、ボークにもかかわらず、打者が安打、失策、四死球、その他で一塁に達し、かつ、他のすべての走者が少なくとも一個の塁を進んだときには、本項前段を適用しないで、プレイはボークと関係なく続けられる。 【付記一】 投手がボークをして、しかも塁または本塁に悪送球(投球を含む)した場合、塁上の走者はボークによって与えられる塁よりもさらに余分の塁へアウトを賭して進塁してもよい。 【付記二】 本条ペナルティを適用するにさいして、走者が進塁しようとする最初の塁を空過し、アピールによってアウトを宣告されても、一個の塁を進んだものとする。 【原注】 ボークルールの目的は、投手が走者を意図的に騙そうとするのを防ぐためであることを、審判員は心に銘記しなくてはならない。もし、審判員の判断で投手の “意図” に疑いを抱いたら、審判員は厳重に規則を適用すべきである。 【注一】 投手の投球がボークとなり、それが四死球にあたった場合、走者一塁、一・二塁または満塁のときには、そのままプレイを続けるが、走者が二塁だけ、三塁だけ、または二・三塁、一・三塁のときには、ペナルティの前段を適用する。   【注二】 本項〔付記一〕の “悪送球” には、投手の悪送球だけではなく、投手からの送球を止め損じた野手のミスプレイも含まれる。走者が、投手の悪送球または野手のミスプレイによって余塁が奪えそうな状態となり、ボークによって与えられる塁を越えて余分に進もうとしたときには、ボークと関係なくプレイは続けられる。 ————————————————————————————– 多くの方がご存じのように、現在発行されている公認野球規則の【注】は日本独自のものです。以前より指摘していますが、それらはルールの正しい理解を助けてくれるものなのですが、時として逆に読者を混乱させてしまう原因となります。 今回のケースもそれに当たると考えます。上記8.05ペナルティの【注一】と【注二】はそれぞれ矛盾する内容を含んでいます。 塁が詰まっていない状況で、ボークの宣告の後に投球し、それが四球目の投球でかつワイルドピッチになった場合、【注一】に従うと、ペナルティの前段を適用するので、打者は一塁へ行けず、即ボールデッドとしなければなりません。しかし【注二】では「(走者が)余分に進もうとしたときには、ボークと関係なくプレイは続けられる」と書いてあるので、ボールインプレイということになります。インプレイで流すということは、打者は四球で一塁に行けないのは何故?ということになりませんか? また、【注一】【注ニ】いずれ第三ストライクで打者が即アウトにならない場合で、ボークがワイルドピッチになった場合については触れられていません。今回の設問のケースです。 そこで、マニュアルです。 ————————————————————————————– If the balk is followed by a wild pitch, the Approved Ruling of Official Baseball Rule 8.05 provides that the runner may advance beyond the base to which he is entitled at his own risk. In that situation, the umpire shall call the balk in the usual manner but shall not call “Time” until all play has ceased (runners have stopped trying to advance and a fielder is in possession of the ball in the infield). Note that even if the runner advances to or beyond the base to which following a balk, the balk is still “acknowledged.” That is, the pitch is nullified and the batter will resume his at bat with the count on him when the balk occurred unless: a) The wild pitch was ball four on which all runners advanced one base; or b) The wild pitch was strike three on which batter and all other runners advanced one base. In both situation above, play proceeds without reference to the balk, since all runners (including the batter-runner) advanced one base on the pitch following the balk. 《拙訳》 ボークに続いてワイルドピッチが起きた場合、野球規則8.05付記で走者はボークによって与えられる塁よりもさらに余分の塁へアウトを賭して進塁してもよいと規定されている。そうなったら審判員はボークの宣告を普通の方法で行うが、全てのプレイが一段落するまで(全ての走者が進塁の企てを中止し、内野手が内野でボールを持つまで)タイムをかけてはならない。 もしボークの後に全ての走者が与えられた塁、もしくは余分な塁に達したとしても、ボークは無かったことにはならない。つまり投球は無効とされ、以下の二つの場合を除いて、ボーク発生時の打者のカウントに戻す。 a)ワイルドピッチが第四ボールにあたり、全ての走者が最低でも一つの塁を進んだとき。 b)ワイルドピッチが第三ストライクにあたり、打者と全ての走者が一つの塁を進んだとき。 上記の二つの場合は、打者走者を含む全ての走者がボークの後の投球によって一つの塁を進んだので、プレイはボークと関係なく続けられる。 ————————————————————————————– これで、上記で私が挙げた矛盾点、疑問点は解決されました。 設問のケースは上記の(b)にあたるので、監督の抗議を突っぱねて良いわけです。 まとめるとボークワイルドピッチが四球あるいは所謂「振り逃げ」になり、打者を含む全ての走者が塁を進んだ場合は、塁が詰まっているか否かに関わりなくボークのペナルティの原則が適用されることになります。 マニュアルの上記の文章では触れられていませんが、死球の場合は投球が打者に触れた瞬間にボールデッドになってしまうので、塁が詰まっている場合のみ有効です。それ以外では当たり損の打ち直しで気の毒な気もしますが、ルールなので仕方ありません。 少しややこしいですが、整理して理解して下さい。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会