【第110回】捕手への守備妨害(ミドル)

ルール改正により、ルール・クイズ記事投稿時とはルールが変更されている場合がございます。
最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんにちは。濱野です。昨日、井上と私でリトルシニア関東連盟南関東支部審判部に講習会でお邪魔させて頂きました。私は三年続けて呼んで頂いております。一昨年も昨年も持った感想ですが皆様本当に一生懸命で、「やらされている感」が微塵も感じられませんでした。講習会終了後の懇親会においても、酒席の雑談の合間に皆様ルールや審判全般について熱く語っておられました。ありがとうございました。 ■ クイズ110(ミドル)■ 一死一・三塁。一塁走者が二塁へ盗塁した時に、打者が空振りしさらに本塁の前に出ました。捕手は妨害されながらも二塁へ送球しました。捕手が二塁に送球したのを見て、三塁走者が本塁にスタートを切りました。今度は、捕手の二塁への送球を二塁手が投手と二塁のベースカバーに入った遊撃手の中間でカットして本塁へ送球しました。三塁走者は本塁でセーフになりました。 1.二塁手が捕手からの送球を途中でカットし、二塁でプレイがなかったので、全てインプレイで流す。得点、一死二塁で再開する。 2.三塁走者に対するプレイが終わるまで待つ。三塁走者がセーフになったので、打者にアウトを宣告する。二死2・3塁で再開する。 3.妨害後、一塁走者を二塁でアウトにできなかった時点で、タイムを宣告し打者にアウトを宣告する。走者をそれぞれ妨害発生時に占有していた塁に戻す。 4.球審が妨害を認めた時点で打者をアウトを宣告する。一塁走者、三塁走者をそれぞれ妨害発生時の塁に戻す。 今回もある会員様からの質問です。 最近、ルールクイズの題材探しに苦労しているので、UDCの質問箱は私にとって宝の山です。ですから、会員の皆様、私を助けると思って色々な疑問・質問を質問箱宛にお寄せ下さい。よろしくお願いいたします。 ○● 109回の回答(複数のアピールプレイ)●○ 正解は・・・ 2.2点である。 でした。 【解説】 ————————————————————————————– 4.09  得点の記録 (a) 三人アウトになってそのイニングが終了する前に、走者が正規に一塁、二塁、三塁、本塁に進み、かつ、これに触れた場合には、そのつど1点が記録される。 【付記】第三アウトが次のような場合には、そのアウトにいたるプレイ中に、走者(1、2にあたる場合は全走者、3にあたる場合は後位の走者)が本塁に進んでも、得点は記録されない。 (1)打者走者が一塁に触れる前にアウトにされたとき。(6.05、6.06参照) (2)走者がフォースアウトにされたとき。(7.08e参照) (3)前位の走者が塁に触れ損ねてアウトにされたとき。(7.10a、b、7.12参照) 【原注】規則説明 打者走者のアウトが一塁に触れる前のアウトの形をとり、それが第三アウトにあたったときは、たとえ他の走者がそのアウトの成立前か、あるいはそのアウトが成立するまでのプレイ中に本塁に触れていても得点は記録されない。 〔例一〕 一死、走者二・三塁のとき打者が安打したので、三塁走者は容易に本塁に達したが、二塁走者は本塁への送球でアウトにされて二死となった。この間打者走者は二進していたが、途中一塁を踏んでいなかったので一塁でアピールされて打者はアウトになり、三死となった。 ― 三塁走者は “打者走者が一塁に触れる前のアウトで、しかも第三アウトにあたる場合” のプレイ中に本塁に触れたのであるから、その得点は記録されない。 〔例二〕 二死満塁のとき、打者はフェンス越えの本塁打を打って四人とも本塁を踏んだが、打者は一塁を踏まなかったのでアピールされてアウトになった。 ― この場合、打者のアウトは一塁に触れる前の第三アウトの形をとるから、無得点である。 7.10  次の場合、アピールがあれば、走者はアウトとなる。 (b) ボールインプレイのとき、走者が進塁または逆走にさいして各塁に触れ損ねたとき、その塁を踏み直す前に、身体あるいは触れ損ねた塁に触球された場合。(7.02参照) 【付記】 塁を空過した走者は、 (1)後位の走者が得点してしまえば、その空過した塁を踏み直すことは許されない。 (2)ボールデッドのもとでは、空過した塁の次の塁に達すれば、その空過した塁を踏み直すことは許されない。 【原注】 例 ― 打者が競技場の外へ本塁打を打つか、スタンドに入る二塁打を打って、一塁を空過した(ボールデッド)。 ― 打者は二塁に触れる前ならば、誤りを正すために一塁に帰ることはできる。しかし、二塁に触れてしまうと、一塁に戻ることはできない。守備側がアピールすれば、一塁でアウトが宣告される。  例 ― 打者が遊撃手にゴロを打ち、遊撃手はスタンドに飛び込む悪送球をした。(ボールデッド) ― 打者は一塁を空過したが、悪送球によって二塁が与えられた。打者走者は、審判員によって二塁が与えられても、二塁に進む前に一塁に触れなければならない。  いずれもアピールプレイである。 本条規定のアピールは、投手が打者へ次の1球を投じるまで、または、たとえ投球しなくてもその前にプレイをしたりプレイを企てるまでに行なわなければならない。  アピールは、その消滅の基準となるプレイまたはプレイの企てとはみなさない。  投手がアピールのために塁に送球し、スタンドの中などボールデッドの個所にボールを投げ込んだ場合には、同一走者に対して、同一塁についてのアピールを再びすることは許されない。  第三アウトが成立した後、ほかにアピールがあり、審判員が、そのアピールを支持した場合には、そのアピールアウトが、そのイニングにおける第三アウトとなる。  また、第三アウトがアピールによって成立した後でも、守備側チームは、このアウトよりもほかに有利なアピールプレイがあれば、その有利となるアピールアウトを選んで、先の第三アウトと置きかえることができる。  ”守備側チームのプレーヤーが競技場を去る” とあるのは、投手および内野手が、ベンチまたはクラブハウスに向かうために、フェア地域を離れたことを意味する。 ————————————————————————————– 109回のポイントは、フォースプレイと得点の関係、及びアピールの場合の第三アウトの置きかえが出来るのか否かということにあります。 設問では、守備側は先に一塁で打者走者の一塁空過をアピールしています。(この時点でアウトカウントは2アウトになりました。)その後、二塁で一塁走者の空過をアピールしてアウトが宣告されました。残念ながら、一塁で先にアウトが成立しているので、フォースの状態は解かれているので、これは「フォースアウト」ではなく、ただの「アピールアウト」になります。アピールアウトはタイムプレイになります。ということは、第三アウトがフォースアウトではないので、その成立前に本塁に触れた三塁走者と二塁走者の得点は認められることになります。 もし守備側が先に一塁走者の二塁空過をアピール、その後に一塁のアピールをしていればどちらもフォースアウトになるので、4.09(a)【付記】(2)により攻撃側の得点は認められません。 アピールにおいては、守備側チームは、有利となるアピールアウトを選んで、先の第三アウトと置きかえることが出来ます。設問のケースでも、一瞬、二塁で第三アウトが成立した後でも、アピールの順番を入れ替えるようにやり直せるような気がしてしまいますが、如何でしょうか?。実は、私が一瞬考え込んでしまったのもこのポイントでした。 結論を言うと、出来ません。 赤字に下線とうるさいかもしれませんが、置き替えが出来るのは、「第三アウト」なのです。一塁で先にアピールをしてしまったので、一塁でのアピールアウト(フォースアウト)は「第二アウト」です。第二アウトを第三のアウトには出来ません。第三アウトを置きかえるためには、有利となる第四のアピールアウトを成立させなければなりません。守備側は第二アウトと第三アウトを置きかえることはできないのです。 おわかり頂けたでしょうか? 【ちなみに情報】 この質問の回答をするにあたって、私も100パーセントの自信がなかったので、SNSのフェイスブックで、審判の友人に尋ねてみました。ちょうど各地でフォールリーグが開催中で、アリゾナの3Aの審判、メキシコのプロ野球の審判、シアトルのDivision1のカレッジの審判から上記の回答で正しいと答えをもらいました。それぞれ試合前の審判室で同僚と話した結果だそうで、皆、「良い質問だ」と褒めてくれました。ルールの疑問は簡単に太平洋を越えました。 《12/21追記》 109回の回答について訂正がございます。 正解は・・・ 2点である。 ではなく、0点である。 でした。 実は、回答をwebに上げた翌日にはあるインストラクターから「違うんじゃないの?」との指摘は受けており、電話で論争になっていました。しかし、私も回答を書くに及びMLB・マイナーリーグ両方のアンパイアマニュアルを読み、日本の細則を含めた規則書にも目を通し、更にアメリカの現役のマイナーリーグの審判から意見を聞くなど、万全を期して執筆したつもりでいたので、必要以上に意地を張ってしまったというところです。私が持論を曲げなかったため、「師匠に訊いてみよう」ということになり、ジム・エバンス校長にメールで意見を伺いました。 結果、「ポイントは塁を空過したときにフォースの状態だったか否か」だそうです。109回の設問では、一塁走者が二塁を踏まずに空過したときに、一塁走者がまだアウトにされていなかったので、フォースの状態でした。ジム曰く、「守備側が後位の走者のアピールアウト(フォースアウト)を成立させたとしても、前位の走者のフォースの状態が解消されるわけではなく、アピールされればそれもフォースアウトとして扱われる」とのことでした。7.08(e)の規定は、アピールプレイには適用されないという、ジム・エバンス校長からの回答でした。 というわけで、私の109回の回答は誤りということになりました。(意見を頂いたスタッフの皆様、意地を張って本当にゴメンなさい。)日本の規定もジムと同じ見解であるようです。 3Aを含めた複数のマイナーリーグの審判、メキシカンリーグの審判、シアトルのディビジョン1のカレッジの審判、みんな私が正しいと言いました。それくらい難しい問題だったということです。(言い訳です…) 私にとっても良い勉強になりました。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会