【第115回】退場その2・捕手編(ミドル)

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最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

皆様こんにちは。濱野です。 先週、「1月はアマチュア野球もお休み」と書きましたが、「そんなことはないですよ」との声も頂きました。真冬でも既に練習試合とはいえ、実戦に臨んでいる方が意外に多くて驚きました。寒いのでお怪我の無いように気を付けてください。 さて、今回も退場についてです。捕手の行為を取り上げます。前回の解説でマニュアルの文章が下に載っています。今回は回答の手がかりがありますので、難度はミドルに格下げです。 ■ クイズ115(ミドル)■ 1.捕球の際に、「今のは低いですか?」と尋ねる行為。 2.審判の「ボール」の判定にミットを叩きつける行為。 3.投球を捕るときにミットを動かす行為 4.投球判定に対し後方を振りかえって球審に意見する行為。 設問の一つ一つの行為に対し、自分がアメリカ野球の球審であったらどう対処するか考えてみてください。 ○● 前回の回答(退場その1・打者編)●○ 正解は・・・ 2.見逃し三振の直後に、何も言わずに反対側の打席にバットで線を引いた。 でした。 【解説】 ————————————————————————————– STANDARDS FOR REMOVAL FROM THE GAME Umpires are entrusted with the authority to remove any participant from the game. This responsibility should never be taken lightly. While there are unique and extraordinary circumstances, players and clubs look for uniformity in applying consistent standards for ejection. The following general principles should be considered when deciding whether to eject a player, coach, manager or other person from the game: 1. Use of profanity specifically directed at an umpire or vulgar personal insults of an umpire are grounds for ejection. 2. Physical contact with an umpire is ground for ejection. 3. Refusal to stop arguing, and further delaying the game after the umpire has provided a player or manager adequate opportunity to make a point, is ground for ejection. The umpire should warn the player or manager that he has been heard and that he should return to his position or be ejected. Be firm and strong when warning the person, and avoid warning TOO SOON. 4. If a player, coach or manager leaves his position to argue balls and strikes (including half swings), he should be warned to immediately return or he will be automatically ejected. 5. Use of histrionic gestures (e.g., jumping up and down, violently waving arms or demonstrations) while arguing with an umpire, or stepping out of the dugout and making gestures toward an umpire, are grounds for ejection. Throwing anything out of a dugout (towels, cups, equipment, etc.) is ground for automatic ejection. 6. Throwing equipment in disgust over an umpire’s call may be a ground for ejection. In some situations, the umpire can warn the player and cause a fine to be issued for throwing equipment, but if the umpire deems the action severe, the umpire may eject the offender. 7. Any player, manager or coach who fails to comply with an order from an umpire to do or refrain from doing anything that affects administering the rules and regulations governing play is subject to ejection in accordance with Official Baseball Rule 9.01. Examples of this include failure to stay within the lines of the batter’s box after warning from the umpire, refusal to submit a piece of equipment for the umpire’s inspection, etc. While standards listed here may justify an ejection, Official Baseball Rule 9.01(d) grants umpire discretion to eject any participant “for objecting to decisions or for unsportsmanlike conduct or language.” In addition, thre are situations listed in the Official Baseball Rules and in other sections of this manual that result in immediate ejection. These situations include violations such as pitcher possession of a foreign substance, batter charging the pitcher with the intention of fighting the pitcher, pitcher intentionally throwing at a better, etc. 《拙訳》 審判員は試合の参加者を試合から除く職権を委ねられている。この責任は決して軽く考えられるべきではない。特殊で普通でない状況に於いても、プレイヤーやクラブは一貫性のある退場の基準の適用を求めている。 選手、コーチあるいは監督を退場にするかどうか決めるとき、以下の原則を考えるべきである。 1.特定の審判に対する口汚く罵る言葉を使うこと、あるいは審判に対する卑しい個人的侮辱は退場の対象となる。 2.審判に対する物理的接触は退場の対象となる。 3.議論を止めるのを拒絶するか、審判が選手や監督にある程度まで自分の意見を主張する機会を与えた後、更に試合を遅らせた場合は退場の対象となる。審判は選手や監督にきちんと聞こえるように、自分の元の居場所に戻らないと退場になるとの旨の警告をするべきである。警告するときは強い断固とした態度でいること。そして、早すぎる警告は避けなくてはならない。 4.選手・コーチ・監督がストライク/ボールの判定(ハーフスイングを含む)への抗議のために自分の居場所を離れたら、直ちに戻るように審判員に警告され、それを無視した場合は自動的に退場となる。 5.審判と議論している間に、芝居ががった大げさな身振り(飛び跳ねる、激しく手を振る、あるいはプレイを実演してみせる等)を使ったり、ダグアウトから足を出して審判に対して身振りを行う行為は退場の対象となる。ダグアウトからの物の投げ入れ(タオル、カップ、用具など)は自動的に退場となる。 6.審判の判定に対する反感から用具を投げつけることは、退場の対象になることもある。一定の状況では、審判は用具を投げると罰金の対象になる選手に警告を与えることもできるが、選手の行動が激しいと判断すれば審判員は違反者を退場にしても良い。 7.選手・監督・コーチが、ルールを施行することに影響する「何かをやりなさい」あるいは「何かを控えなさい」という審判員の命令に従わなかった場合は公認野球規則9.01に従って退場の対象になる。この例としては、審判の警告の後にも打者席を形成するラインの中に打者が構えるときに足を入れなかった場合、審判のチェックに対し用具を差し出すのを拒否した場合、等が含まれる。 ここに列挙された基準が退場宣告を正当化させるかもしれないが、公認野球規則9.01(d)は審判が「決定に異議を唱えた者や非スポーツマン的言動」をした試合の参加者を退場させることの自由裁量を認めている。これに加えて、公認野球規則やこの審判マニュアルに挙げられた幾つかの状況では、瞬時に退場となることもある。投手が異物を持っていたり、打者が喧嘩をする目的で投手に走っていったり、投手が故意に打者を狙って投球したりする行為などがそれらには含まれている。 ————————————————————————————– 上記のマニュアルの文章を踏まえた上で、選択肢を一つずつ見ていきましょう。 1.ストライクのコールの後に、「絶対に入ってないよ!」と短く球審に怒鳴った。 スポーツマンシップの観点からは決して褒められた行為ではありませんが、上記のマニュアルには、審判の判定に異議を唱えることが退場の対象となるとは何処にも書いていないのです。真剣勝負におけるある程度の感情の噴出は仕方のない面もあります。この打者は判定についてのみ異議を唱えており、審判個人についての侮辱しているわけではなく、試合を遅延させているわけでもありませんから退場を宣告してはいけません。 日本では、「審判がトラブルを大きくした」などと言われてしまうのを恐れて、ただ我慢して黙るのが得策だと言われていますが、アメリカではゲームコントロールをしているのは審判であるということを知らしめるために言われっぱなしではいけないのです。 2.見逃し三振の直後に、何も言わずに反対側の打席にバットで線を引いた。 これが今回の正解です。マニュアルの5番に当たります。 「デモンストレーション」審判に対する見せつけ行為は一発退場です。 3.ヒットエンドランのサインを見破られて、走者を助けるために外に大きく外された投球でなく捕手に向かってバットを投げつけた。 こちらもサッカーやラグビーならばイエローカードやレッドカードが出るような相手選手に対する明らかな非スポーツマン的行為ですが、野球の審判は「投手が故意に打者に当てる投球を投げた場合」か「打者が喧嘩をする目的で投手に走っていった」場合以外の、選手による所謂ラフプレイで退場を宣告することはできないのです。選手の行為が非スポーツマン的だ、と思ってもルールで特別に規定してあるとき以外は退場を宣告できません。 私の持論ですが、ベースボールは性善説によって行われているスポーツなのです。スポーツマン(ルール・相手・競技そのものを尊重できる人)以外が参加することを前提にしていないために、野球という競技の審判にサッカーやラグビーの審判ほどの権限が与えられていないのです。つまり、試合が始まってからのスポーツマンシップの維持については、他競技と比べより多くの部分が選手に委ねられており、だからこそ非スポーツマン的行為に対しては故意死球が待っているという暗黙の了解が成立するのです。他の競技とは違うBaseballの特徴です。 4.見逃し三振の直後に、黙ってヘルメットとバットを自分のダグアウトの方向に投げた。 これはグレイゾーンです。判定に立腹して用具を投げつけたと判断できるならば退場を出すこともあるでしょう。しかし、この打者の三振が第三アウトだったような場合、単に用具を外して自分のダグアウトやバットボーイの方向に投げただけのような場合は退場を出してはいけません。打者の意図を判断する必要があります。 微妙なケースの映像です。ライアン・ハワード選手はスイングの判定に不満は持っていたかもしれませんが、自チーム、フィリーズのダグアウトの方向に向けてバットを投げました。このようなケースではマイナーリーグのスーパーバイザーは「出さない方が良かった」と言うかもしれません。 ※私は日米の野球文化の違いを論じたいので、これらの映像を紹介しています。映像中の審判諸氏や選手諸君を責める意図は全くありませんので、誤解のないようにお願いいたします。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会