【第116回】退場その3・投手編(ミドル)

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最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんにちは。濱野です。この冬は寒いですね。私は男だてらにレッグウォーマーを買って重宝して使っております。過去数年、暖冬が続いて地球温暖化が進んだかと思いきや、原発事故で火力発電が増えて二酸化炭素の排出が増えているはずなのに。東北の被災地の方には重ね重ねお見舞い申し上げます。 「退場」シリーズ。今回は投手の行為を取り上げます。 ■ クイズ115(ミドル)■ 退場となるのは、投手のどの行為でしょうか? 1.前の打席に本塁打を打たれた打者に、次の打席の初球に死球を与えた。 2.マウンド上でハンカチで汗を拭った。 3.「ボール」の投球判定に対し、膝を落として落胆を見せた 4.投手板上で手を口に持って行った。 設問の一つ一つの行為に対し、自分がアメリカ野球の球審であったらどう対処するか考えてみてください。 ○● 前回の回答(退場その1・打者編)●○ 正解は・・・ 2.審判の「ボール」の判定にミットを叩きつける行為。 でした。 (4.投球判定に対し後方を振りかえって球審に意見する行為。」も退場の可能性が高いです。) 【解説】 ————————————————————————————– STANDARDS FOR REMOVAL FROM THE GAME Umpires are entrusted with the authority to remove any participant from the game. This responsibility should never be taken lightly. While there are unique and extraordinary circumstances, players and clubs look for uniformity in applying consistent standards for ejection. The following general principles should be considered when deciding whether to eject a player, coach, manager or other person from the game: 1. Use of profanity specifically directed at an umpire or vulgar personal insults of an umpire are grounds for ejection. 2. Physical contact with an umpire is ground for ejection. 3. Refusal to stop arguing, and further delaying the game after the umpire has provided a player or manager adequate opportunity to make a point, is ground for ejection. The umpire should warn the player or manager that he has been heard and that he should return to his position or be ejected. Be firm and strong when warning the person, and avoid warning TOO SOON. 4. If a player, coach or manager leaves his position to argue balls and strikes (including half swings), he should be warned to immediately return or he will be automatically ejected. 5. Use of histrionic gestures (e.g., jumping up and down, violently waving arms or demonstrations) while arguing with an umpire, or stepping out of the dugout and making gestures toward an umpire, are grounds for ejection. Throwing anything out of a dugout (towels, cups, equipment, etc.) is ground for automatic ejection. 6. Throwing equipment in disgust over an umpire’s call may be a ground for ejection. In some situations, the umpire can warn the player and cause a fine to be issued for throwing equipment, but if the umpire deems the action severe, the umpire may eject the offender. 7. Any player, manager or coach who fails to comply with an order from an umpire to do or refrain from doing anything that affects administering the rules and regulations governing play is subject to ejection in accordance with Official Baseball Rule 9.01. Examples of this include failure to stay within the lines of the batter’s box after warning from the umpire, refusal to submit a piece of equipment for the umpire’s inspection, etc. While standards listed here may justify an ejection, Official Baseball Rule 9.01(d) grants umpire discretion to eject any participant “for objecting to decisions or for unsportsmanlike conduct or language.” In addition, thre are situations listed in the Official Baseball Rules and in other sections of this manual that result in immediate ejection. These situations include violations such as pitcher possession of a foreign substance, batter charging the pitcher with the intention of fighting the pitcher, pitcher intentionally throwing at a better, etc. 《拙訳》 審判員は試合の参加者を試合から除く職権を委ねられている。この責任は決して軽く考えられるべきではない。特殊で普通でない状況に於いても、プレイヤーやクラブは一貫性のある退場の基準の適用を求めている。 選手、コーチあるいは監督を退場にするかどうか決めるとき、以下の原則を考えるべきである。 1.特定の審判に対する口汚く罵る言葉を使うこと、あるいは審判に対する卑しい個人的侮辱は退場の対象となる。 2.審判に対する物理的接触は退場の対象となる。 3.議論を止めるのを拒絶するか、審判が選手や監督にある程度まで自分の意見を主張する機会を与えた後、更に試合を遅らせた場合は退場の対象となる。審判は選手や監督にきちんと聞こえるように、自分の元の居場所に戻らないと退場になるとの旨の警告をするべきである。警告するときは強い断固とした態度でいること。そして、早すぎる警告は避けなくてはならない。 4.選手・コーチ・監督がストライク/ボールの判定(ハーフスイングを含む)への抗議のために自分の居場所を離れたら、直ちに戻るように審判員に警告され、それを無視した場合は自動的に退場となる。 5.審判と議論している間に、芝居ががった大げさな身振り(飛び跳ねる、激しく手を振る、あるいはプレイを実演してみせる等)を使ったり、ダグアウトから足を出して審判に対して身振りを行う行為は退場の対象となる。ダグアウトからの物の投げ入れ(タオル、カップ、用具など)は自動的に退場となる。 6.審判の判定に対する反感から用具を投げつけることは、退場の対象になることもある。一定の状況では、審判は用具を投げると罰金の対象になる選手に警告を与えることもできるが、選手の行動が激しいと判断すれば審判員は違反者を退場にしても良い。 7.選手・監督・コーチが、ルールを施行することに影響する「何かをやりなさい」あるいは「何かを控えなさい」という審判員の命令に従わなかった場合は公認野球規則9.01に従って退場の対象になる。この例としては、審判の警告の後にも打者席を形成するラインの中に打者が構えるときに足を入れなかった場合、審判のチェックに対し用具を差し出すのを拒否した場合、等が含まれる。 ここに列挙された基準が退場宣告を正当化させるかもしれないが、公認野球規則9.01(d)は審判が「決定に異議を唱えた者や非スポーツマン的言動」をした試合の参加者を退場させることの自由裁量を認めている。これに加えて、公認野球規則やこの審判マニュアルに挙げられた幾つかの状況では、瞬時に退場となることもある。投手が異物を持っていたり、打者が喧嘩をする目的で投手に走っていったり、投手が故意に打者を狙って投球したりする行為などがそれらには含まれている。 ————————————————————————————– ————————————————————————————– 9.02(a) 打球がフェアかファウルか、投球がストライクかボールか、あるいは走者がアウトかセーフかという裁定に限らず、審判員の判断に基づく裁定は最終のものであるから、プレーヤー、監督、コーチ、または控えのプレーヤーが、その裁定に対して、異議を唱えることは許されない。 【原注】 ボール、ストライクの判定について異議を唱えるためにプレーヤーが守備位置または塁を離れたり、監督またはコーチがベンチまたはコーチスボックスを離れることは許されない。もし、宣告に異議を唱えるために本塁に向かってスタートすれば、警告が発せられる。警告にもかかわらず本塁に近づけば、試合から除かれる。 ————————————————————————————– 一般論として、アメリカ野球の捕手は日本の捕手ほどストライク・ボールの判定に一喜一憂している様子を見せることはあまりありません。判定に対する不満を示したところで変更不可能であると少年期から、(少なくともプロに入ってきてから)教育されているからでしょう。投球判定については審判は9.02の規定で強く守られているのです。私も過去にその現場にいたので、その難しさは十分すぎるほど承知していますが、日本のプロ野球審判の課題(日本のスポーツマンシップ教育の課題と言っても過言ではないでしょう)は判定が正しいか否かに関わりなく9.02の規定を字面通りに運用できるかどうかにかかっていると思います。ちなみに、私が日本プロ野球在籍当時はかなりのチキンだったので、絶対にできませんでした。自分のことを棚に上げて物を言うことをお許しください。 今回も選択肢を一つずつ見ていきましょう。 1.捕球の際に、「今のは低いですか?」と尋ねる行為。 「ボール」の判定を受けて、審判の見解を尋ねる行為は問題ありません。アメリカでも審判と捕手の普通の会話として行われています。 2.審判の「ボール」の判定にミットを叩きつける行為。 これが今回の正解です。マニュアルの5番に当たります。 アメリカでは高校野球でも退場はあります。 こちらも同様の行為です。 明らかに芝居ががった行為ですので、アメリカなら投手も退場になるでしょう。 ※私は日米の野球文化の違いを論じたいので、これらの映像を紹介しています。映像中の審判諸氏や選手諸君を責める意図は全くありませんので、誤解のないようにお願いいたします。 上記の映像中の捕手の行為はアメリカだったら間違いなく退場です。また、このような行為に対して退場を宣告できない審判は評価されません。アメリカでは高校野球でも退場はあります。審判にとって判定の正確さは言うまでもなく大事ですが、それよりも大事なことはゲームコントロールです。投球判定は野球で最も多頻度で行われます。それについて選手が不満を表明する行為を許していたら収拾がつかなくなります。また、一人の審判がそれを許してしまうと対応にバラツキが出ることになりますので、組織としても問題ですね。 3.投球を捕るときにミットを動かす行為 こちらもサッカーならば「シュミレーション」という非スポーツマン的行為ですが、この行為を以て一発退場はできないと思います。但し、止めなさいと既に警告済みならば退場もあり得るでしょう。 4.投球判定に対し後方を振りかえって球審に意見する行為。 100パーセント退場にさせなければならない行為かと問われればそうではありません。しかし、微妙な判定の後に後方を振りかえるという行為自体が、「芝居ががった大げさな身振り」と解釈されても仕方がないので多くのアメリカ人の審判は一発退場にすると思います。少なくとも「今すぐ文句言うのを止めろ!後ろを向くな!」と強い警告は必ず入れなくてはなりません。 今まで説明したように、アメリカ野球の捕手は判定に不満をあまり言わないですし、ファウルボールの後にボールを受け取る時以外は球審の方を振り返るということはほぼ無い(判定について質問があるときは前を向いたまま行うのが普通です)ので、捕手がこのような行為をするとすれば、退場覚悟であるはずです。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会