【第117回】退場その4・監督編(ミドル)

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最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんにちは。濱野です。今週も「寒い」と言う話になってしまうのですが、寒くても、プロ野球は間もなくキャンプに入りますね。NPBの審判の方々は休みが終わってしまうのが残念でもある一方、新しいシーズンが始まるワクワクした気分とが混ざり合った心境である頃です。 「退場」シリーズ。今回は監督の行為を取り上げます。 ■ クイズ115(ミドル)■ 退場となるのは、監督のどの行為でしょうか? 一発退場は×、退場宣告の可能性は△、問題のない行為は○で答えてください。 アメリカ野球での話です。 1.判定の下した審判のところに来て、「その判定は間違いだ。」と言った。 2.判定を下した審判のところに来て、「へたくそ!」と言った。 3.微妙な投球判定の後に球審の所まで行って抗議をした。 4.判定に関して質問をして審判が説明を終えたにも関わらず、「納得する説明をしてくれ」と帰らなかった。 5.判定を下した審判に向かって行って小突いた。 設問の一つ一つの行為に対し、自分がアメリカ野球の球審であったらどう対処するか考えてみてください。 ○● 前回の回答(退場その1・打者編)●○ 正解は・・・ 2.マウンド上でハンカチで汗を拭った。 でした。 (「1.前の打席に本塁打を打たれた打者に、次の打席の初球に死球を与えた。」および「3.『ボール』の投球判定に対し、膝を落として落胆を見せた」も退場の可能性が高いです。) 【解説】 ————————————————————————————– STANDARDS FOR REMOVAL FROM THE GAME Umpires are entrusted with the authority to remove any participant from the game. This responsibility should never be taken lightly. While there are unique and extraordinary circumstances, players and clubs look for uniformity in applying consistent standards for ejection. The following general principles should be considered when deciding whether to eject a player, coach, manager or other person from the game: 1. Use of profanity specifically directed at an umpire or vulgar personal insults of an umpire are grounds for ejection. 2. Physical contact with an umpire is ground for ejection. 3. Refusal to stop arguing, and further delaying the game after the umpire has provided a player or manager adequate opportunity to make a point, is ground for ejection. The umpire should warn the player or manager that he has been heard and that he should return to his position or be ejected. Be firm and strong when warning the person, and avoid warning TOO SOON. 4. If a player, coach or manager leaves his position to argue balls and strikes (including half swings), he should be warned to immediately return or he will be automatically ejected. 5. Use of histrionic gestures (e.g., jumping up and down, violently waving arms or demonstrations) while arguing with an umpire, or stepping out of the dugout and making gestures toward an umpire, are grounds for ejection. Throwing anything out of a dugout (towels, cups, equipment, etc.) is ground for automatic ejection. 6. Throwing equipment in disgust over an umpire’s call may be a ground for ejection. In some situations, the umpire can warn the player and cause a fine to be issued for throwing equipment, but if the umpire deems the action severe, the umpire may eject the offender. 7. Any player, manager or coach who fails to comply with an order from an umpire to do or refrain from doing anything that affects administering the rules and regulations governing play is subject to ejection in accordance with Official Baseball Rule 9.01. Examples of this include failure to stay within the lines of the batter’s box after warning from the umpire, refusal to submit a piece of equipment for the umpire’s inspection, etc. While standards listed here may justify an ejection, Official Baseball Rule 9.01(d) grants umpire discretion to eject any participant “for objecting to decisions or for unsportsmanlike conduct or language.” In addition, thre are situations listed in the Official Baseball Rules and in other sections of this manual that result in immediate ejection. These situations include violations such as pitcher possession of a foreign substance, batter charging the pitcher with the intention of fighting the pitcher, pitcher intentionally throwing at a better, etc. 《拙訳》 審判員は試合の参加者を試合から除く職権を委ねられている。この責任は決して軽く考えられるべきではない。特殊で普通でない状況に於いても、プレイヤーやクラブは一貫性のある退場の基準の適用を求めている。 選手、コーチあるいは監督を退場にするかどうか決めるとき、以下の原則を考えるべきである。 1.特定の審判に対する口汚く罵る言葉を使うこと、あるいは審判に対する卑しい個人的侮辱は退場の対象となる。 2.審判に対する物理的接触は退場の対象となる。 3.議論を止めるのを拒絶するか、審判が選手や監督にある程度まで自分の意見を主張する機会を与えた後、更に試合を遅らせた場合は退場の対象となる。審判は選手や監督にきちんと聞こえるように、自分の元の居場所に戻らないと退場になるとの旨の警告をするべきである。警告するときは強い断固とした態度でいること。そして、早すぎる警告は避けなくてはならない。 4.選手・コーチ・監督がストライク/ボールの判定(ハーフスイングを含む)への抗議のために自分の居場所を離れたら、直ちに戻るように審判員に警告され、それを無視した場合は自動的に退場となる。 5.審判と議論している間に、芝居ががった大げさな身振り(飛び跳ねる、激しく手を振る、あるいはプレイを実演してみせる等)を使ったり、ダグアウトから足を出して審判に対して身振りを行う行為は退場の対象となる。ダグアウトからの物の投げ入れ(タオル、カップ、用具など)は自動的に退場となる。 6.審判の判定に対する反感から用具を投げつけることは、退場の対象になることもある。一定の状況では、審判は用具を投げると罰金の対象になる選手に警告を与えることもできるが、選手の行動が激しいと判断すれば審判員は違反者を退場にしても良い。 7.選手・監督・コーチが、ルールを施行することに影響する「何かをやりなさい」あるいは「何かを控えなさい」という審判員の命令に従わなかった場合は公認野球規則9.01に従って退場の対象になる。この例としては、審判の警告の後にも打者席を形成するラインの中に打者が構えるときに足を入れなかった場合、審判のチェックに対し用具を差し出すのを拒否した場合、等が含まれる。 ここに列挙された基準が退場宣告を正当化させるかもしれないが、公認野球規則9.01(d)は審判が「決定に異議を唱えた者や非スポーツマン的言動」をした試合の参加者を退場させることの自由裁量を認めている。これに加えて、公認野球規則やこの審判マニュアルに挙げられた幾つかの状況では、瞬時に退場となることもある。投手が異物を持っていたり、打者が喧嘩をする目的で投手に走っていったり、投手が故意に打者を狙って投球したりする行為などがそれらには含まれている。 ————————————————————————————– 今回も選択肢を一つずつ見ていきましょう。 1.前の打席に本塁打を打たれた打者に、次の打席の初球に死球を与えた。 前回、故意死球がスポーツマンシップを支えている部分があると書きましたが、全ての投手がスポーツマンシップを持ち合わせている訳ではなく、中には本塁打を打たれたことを逆恨みしてビーンボールを投げる輩もいるのです。日本ではほぼ考えられないアメリカ野球の暗黒の面です。試合展開や場面にもよりますが、大まかに言ってホームランを打った本人の次の打席、あるいはホームラン直後の次打者で死球があれば、最低でも警告試合(投手と両ベンチに警告)として残りのイニングを進めることになります。 KC@CLEの試合です。前の打者、Melky Cabrera選手が満塁本塁打を打った直後の初球、Butler選手が当てられそうになったので一発退場です。 こちらは、本塁打を打った本人が次打席で当てられた例。 警告試合として試合を再開しましたが、当てられたMark Reynolds選手は試合後のインタビューで「わざと当てられたと思う」と答えていました。 2.マウンド上でハンカチで汗を拭った。 これが今回の正解です。上記審判マニュアルで、私が赤太字下線にした部分にあるとおり、投手は異物を持っていたら瞬時に退場です。「ただのハンカチだから良いじゃないか」という声も聞こえてきそうですが、もし投手シェービングクリームやグリスや練り歯磨き等々の異物をハンカチに含ませておいて、汗を拭く振りをして投球する指につけたら、もの凄い変化球を投げられます。 ナックルボールで有名なジョー・ニークロの退場シーンです。ヤスリを持っていました。 3.「ボール」の投球判定に対し、膝を落として落胆を見せた 先週の捕手の回で解説したとおり、投球判定については特に強気でのゲームコントロールが必要です。 4.投手板上で手を口に持って行った。 口を手に持っていくのは、一発退場ではありません。規則は以下の通りです。 ————————————————————————————– 8・02  投手は次のことを禁じられる。 (a)(1) 投手が投手板をかこむ18フィートの円い場所の中で、投球する手を口または唇につけた後にボールに触れるか、投手板に触れているときに投球する手を口または唇につけること。  投手は、ボールまたは投手板に触れる前に、投球する手の指をきれいに拭かなくてはならない。 【例外】 天候が寒い日の試合開始前に、両チーム監督の同意があれば、審判員は、投手が手に息を吹きかけることを認めることができる。   ペナルティ 投手が本項に違反した場合には、球審はただちにボールを宣告する。その宣告にもかかわらず、投手が投球して、打者が安打、失策、死球、その他で一塁に達し、かつ走者が次塁に達するか、またはもとの塁にとどまっていた(次塁に達するまでにアウトにならなかった)ときには、本項の違反とは関係なくプレイは続けられる。なお、違反をくり返した投手は、リーグ会長から罰金が科せられる。 ————————————————————————————– 今回は以上です。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会