【第119回】打順間違い(ビギナー)

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最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんにちは。濱野です。先週はUDCのウェブサイトの不具合でなかなか繋がらずに皆様にご迷惑をかけました。更新が一週飛んだ理由はそればかりではないですが、私も書きあげた文章をアップしようとした瞬間、「Fatal error:」となってしまい悲しかったです。 今週末、ついにジム・エバンスセミナー/クリニックですね。私も二年ぶりにジムに会えるのを楽しみにしています。 さて今回から数回、メンバー表(打順間違え・DH解除等)について学んでいこうと思います。 アマチュア野球の場合、選手の名前が表示できるスコアボードのある球場で試合が行われることの方が少ないと思いますし(仮にあったとしても別料金が取られたりするので使わないケースもありますね…)場内アナウンスもないですから、「打順の間違え」はわりと頻繁に起こるのではないでしょうか?私も昨年、二回ありました。 ■ クイズ119(ビギナー)■ アローズ 1.高田 RF 2.馬場 2B 3.落合 1B 4.中井 DH 5.新井 3B 6.沼袋 LF 7.野方 CF 8.家政 C 9.鷺宮 SS  下井 P 球審が試合前に受け取った打順表には以上のようなラインナップが書かれていました。 【Q1】本来、高田の打順ですが、馬場が入りました。カウント2ボール1ストライクまで進んだタイミングで守備側から球審にアピールがありました。 【Q2】本来、高田の打順ですが、馬場が入りました。初球が死球になり、かなり痛そうです。トレーナーの手当の間に守備側監督から球審にアピールがありました。 【Q3】本来、高田の打順ですが、馬場が入りました。投手にポップフライを打ち上げてアウトになりました。そして守備側からアピールがありました。 自分が球審だったら、どうするか考えて下さい。 全てビギナーレベルの問題ですが、「あれっ?」て思いませんか? ○● 前回の回答(打球に走者が当たる)●○ 正解は・・・ 2.一塁走者がアウト。ボールデッドで三塁走者は三塁に戻される。打者は一塁へ。 でした。 「4.どの内野手にも守備機会が残されていないので、ボールインプレイである。」を選んだ方が多いのではないでしょうか?アメリカと日本で解釈が異なっている可能性がある条項です。 ————————————————————————————– 7・09  次の場合は、打者または走者によるインターフェアとなる。 (k) 野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域で走者に触れた場合。  ただし、走者がフェアボールに触れても、 (1) いったん内野手(投手を含む)に触れたフェアボールに触れた場合。 (2) 一内野手(投手を除く)に触れないでその股間または側方を通過したフェアボールに、すぐその後方で触れても、この打球に対して、他のいずれかの内野手も守備する機会がない場合。 には、審判員は走者が打球に触れたという理由でアウトを宣告してはならない。 ————————————————————————————– ————————————————————————————– 7.09(k) A fair ball touches him on fair territory before touching a fielder. If a fair ball goes through, or by, an infielder, and touches a runner immediately back of him, or touches the runner after having been deflected by a fielder, the umpire shall not declare the runner out for being touched by a batted ball. In making such decision the umpire must be convinced that the ball passed through, or by, the fielder, and that no other infielder had the chance to make a play on the ball. If, in the judgment of the umpire, the runner deliberately and intentionally kicks such a batted ball on which the infielder has missed a play, then the runner shall be called out for interference. ————————————————————————————– 「ベースボールと野球は違う」という意見もありますし、それは一つの考え方として尊重します。しかし、仮に日本の規則書が米国のそれを訳したものであるならば、少し問題があると私は思います。以下、中学の英語の授業のような内容になりますが、日米でのルール解釈の違いの原因を理解するために必要ですので、お付き合い下さい。 問題は原文「If a fair ball goes through or by, an infielder」です。 「go through」を「股間を通過した」の良いと思いますが、「go by the fielder」が「内野手の側方を通過した」という表現であるために日米で違いが出てしまったのでしょう。 前置詞「by」を英英辞典で調べると「near sb/sth, at the side of sb/sth, beside sb/sth」と最初に出てきます。いずれも「近接」むしろ、「すぐそば」という感覚です。 一方、日本語の『側方』を広辞苑で調べると、「(前方・後方に対して)左右の方向。また、側面。わき。」と書いてあります。つまり、『側方』という日本語の単語の意味は単に「方向」を指していて、英語の前置詞「by」が持っている「近接」「すぐそば」という距離的ニュアンスまでは表しきれていないですね。。 日本語のルールブックに「by」の訳として「側方」という言葉が使われている以上、そのような解釈になってしまうのは致し方ないとは思います。しかし、本来のアメリカ野球(≒国際大会)とは異なった解釈であるということは理解しておく必要があります。 ですから、アメリカの解釈では、設問のような綺麗に野手の間を抜けていくような打球に走者が当たった場合は、その走者がアウトになります。確かに二塁手が極端な前進守備をしていたので、他の内野手はこの打球に対して守備機会はなかったかもしれませんが、一塁手・二塁手の「すぐそば」を抜けて行った打球ではありませんね。ルールの大原則は走者は打球に当たってはいけないのです。 実を言うと、このように偉そうなことを書いている私自身も、エバンス審判学校でジムの授業を受けて、疑問に思ってルールブックの原文に触れるまでは同じ認識でいました。 アメリカ(≒国際大会)での認識はこのように解釈されていますが、一方でここは日本であるということも十分わかっております。 しかし、私の不勉強で日本の各団体が、この条項の「側方」という単語の距離的概念をどう解釈しているかまでは把握しておりません。まずは所属する団体にお問い合わせの上、それに従って頂くのが宜しいかと存じます。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会