【第126回】野手の帽子が打球に当たる

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こんにちは。濱野です。 南関東も金冠日食を見るには絶好の位置ということで、ちょっとだけワクワクしていたのですが、神奈川県湘南地域は雨でした。何とか薄雲越しに日食の様子を3歳の息子と見ることが出来はしましたが、期待が大きかっただけに今朝は晴れて欲しかったです。 ■ クイズ126(ビギナー)■ 今回も「質問箱」の会員様の疑問をアレンジしてシェアいたします。 1死1・2塁、打者が3塁線にバントしました。その時、突風が吹いて三塁手の帽子が飛んで、まだ動いている打球にフェア地域で帽子が当たりました。結果打球は方向を変え、三塁手前でファウル地域に出て行った時点で投手がボールを拾い上げました。 1.打球が帽子に当たった時点でフェアの打球となり、以後はインプレイで続ける 2.野手が最初に打球に触れたのはファウル地域であるから、ファウルである。 3.帽子を打球に触れた時点でタイムをかけ、全ての走者に3つの安全進塁権を与える 4.帽子を打球に触れてもインプレイだが、全ての走者に3つの安全進塁権を与える 考えてみてください。 ○● 前回の回答(何故揉めているのだ?)●○ 正解は パイレーツの監督は 2.打者は投球に当たったので(日本で言うところの)デッドボールである。 との抗議で、退場になったアストロズの監督は 1.投球がバットに当たったのでスリーバント失敗で打者アウトとすべきだ。 と抗議をしていました。 《解説》 —————————————————————- 公認野球規則 2.13 BUNT「バント」― バットをスイングしないで、内野をゆるくころがすように意識的にミートした打球である。 —————————————————————- パイレーツの監督の抗議は理解できます。 打者は内角球を避けた直後に手を痛そうに振っていました。打者が痛そうにしたからといって投球が手に当たったとは言い切れません。手の近くでバットに当たれば、その衝撃で痛みを感じることもあるでしょう。 いずれにせよ球審からはその様子は打者の身体で死角になって見えなかったのだと思います。攻撃側のパイレーツの監督は、打者が手を痛そうにしていたのを見て、「死球ではないか?死角で見えなかったのなら他の審判に確認してくれ」と抗議に出てきたのです。球審は実際に死角で見えなかったようで、塁審を呼んで便宜的に確認をしました。 「便宜的」と書いたのは、このようなスロービデオで見てみても分からないような微妙なケースでは、90フィート以上の距離から見ていた塁審には球審の判定を変更するほどの説得力があるわけがないので、球審のジャッジに同調するよりないからです。攻撃側の監督にしてみれば、判定は覆りませんでしたが「他の審判に訊いてくれ」という要望は受け入れられたのである程度は納得してダグアウトに帰って行きました。このように便宜的に他の審判を集めるのはゲームコントロールの一つのテクニックではあります。(だからといって「他の審判に訊いてくれ」という監督の要望に常に応えなければならないわけではありません。誤解のないようにお願いいたします。) パイレーツの監督が帰った後、アストロズの監督が出てきました。「2ストライク後の投球をバントしてファウルになったので打者はアウトだ!」という抗議です。 恐らく、この監督にバントの定義の説明をお願いすると、「片方の手でバットのグリップを握り、反対の手でバットの中間点くらいを握り両手を離して投球を打つこと」といったものになると思います。そしてかなり多くの人(私の感覚だと8割以上)が彼の説明に同意すると思います。半ば野球の「常識」となってしまっていますが、この常識は正しいのでしょうか? ルールブックに答えはあります。 —————————————————————- 公認野球規則 2.13 BUNT「バント」― バットをスイングしないで、内野をゆるくころがすように意識的にミートした打球である。 —————————————————————- もう少し分析すると、バントが成立するには3つの条件が必要です。 1.打者がバットをスイングしない 2.(内野をゆるくころがすように)意識して、 3.ミートさせる(投球をバットに当てる) 上記の3要件の一つでも欠けるとそれはバントとは言えません。 映像中の打者は「バットをスイングせず」に「投球をバットに当て」ましたが、意識的に当てたでしょうか?違います。内角に外れた投球を避けようとしたら偶然にもバットが投球に当たりその打球がファウルになったのです。バントが成立していないので、いわゆる「3バント失敗」でのアウトも成立する訳もないのです。 クルーチーフの説明に対しても聞く耳を持たず、自分の思い込みで「スリーバント失敗だ!」と主張し続けたアストロズの監督は退場になってしまいました。 バントの定義について勘違いされていた皆さん、これを機会に認識を改めて頂くようにお願いいたします。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会