【第136回】第三アウトと安全進塁権(ミドル)

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こんにちは。濱野です。 昨日、私も審判に出かけましたが本当に暑かったですね。帰ってから三歳の息子を抱くと髪から酸っぱい臭いがしました。35℃で湿度が80%という環境はフロリダの真夏にデイゲームで行われるガルフコーストリーグとほぼ同じ環境で、懐かしさすら感じました。関東以南出身の日本人にとってフロリダの高温多湿の夏は慣れっこで大したことはないのですが、屋内はどこへ行っても20℃に満たないくらいに冷房が効いているので、その温度差が私には辛かったです。アメリカ合衆国で暑い地域に行く皆さま、夏でも長袖の上着が必要なので持っていった方が良いと思います。 ■ クイズ136(ミドル)■ 9回裏、二死走者一塁二塁。同点の状況です。 打者は二塁手の後方にフラフラと上がる飛球を打ちました。二死なので一塁走者は投球が打たれると同時にスタートしましたが、二塁走者はアウトカウントを誤ったようで二塁の近くで打球が直接捕球になるか見ていました。一塁走者は走ってきた勢いを止められず、二三塁間で、二塁走者を追い越しましたが、二塁走者はセンターがダイビングキャッチを試みたものの、ショートバウンドで打球がグラブに収まったのを見てからスタートしました。 センターはショートバウンドで打球を捕った後、本塁に投げましたが悪送球となり三塁側のダグアウトに入ってしまいました。 一塁走者が二塁走者を追い越したのは、送球がセンターの手を離れた直後でした。 この場合、 A.一塁走者が二塁走者を追い越してしまった時点で3アウトが成立し、以降のプレイの結果に関わりなく延長戦に突入する。 B.悪送球が野手の手を離れていた時点で占有していた塁から二つの進塁が認められる。そして、今回は悪送球が野手の手を離れた時点ではまだ追い越しの状況は発生していなかったので、一塁走者、二塁走者の共に得点が認められ試合終了。 今回は二択です。 ○● 前回の回答(プレイとは?プレイの企てとは?)●○ 正解は 1.打者走者二塁。一塁走者三塁。 でした。 —————————————————————- 公認野球規則  7.05 次の場合、各走者(打者走者を含む)は、アウトにされるおそれなく進塁することができる。 (g)  二個の塁が与えられる場合  ‐中略‐ 審判員は二個の進塁を許すにあたって、次の定めに従う。すなわち、打球処理直後の内野手の最初のプレイに基づく悪送球であった場合は、投手の投球当時の各走者の位置、その他の場合は、悪送球が野手の手を離れたときの各走者の位置を基準として定める。 —————————————————————- 出題のポイントは、一塁手が打球を弾いたことプレイになるのかということです。「プレイ」ならば二塁手の悪送球は、「内野手の最初のプレイ」ではなくなるので、進塁の起点は悪送球が二塁手の手を離れたときになりますし、「プレイ」でなければ、二塁手の送球が「内野手の最初のプレイ」ということになるので、起点は「投手の投球当時」になります。 では、「プレイ」とは何でしょうか? 皆さんこの規定に書かれている「プレイ」の定義を御存知ですか? 公認野球規則には残念ながら書かれてないはずです。 そこで、かゆい所に手が届くPBUCマニュアルを見てみましょう。 —————————————————————- A key phrase in both the awarding of bases (Official Baseball Rule 7.05(g)) and in appeal plays (Official Baseball Rule 7.10) is “play or attempted play.” Note the following official interpretation: A play or attempted play (Official Baseball Rule 7.05(g) and 7.10) shall be interpreted as a legitimate effort by a defensive player who has possession of the ball to actually retire a runner. This may include an actual attempt to tag a runner, a fielder running toward a base with the ball in an attempt to force or tag a runner, or actually throwing to another defensive player in an attempt to retire a runner. The fact that the runner is not out is not relevant. A fake or a feint to throw shall not be deemed a play or an attempted play. ≪拙訳≫公認野球規則7.05(g)の安全進塁権と7.10のアピールについて「プレイあるいはプレイの企て」というのがキーフレーズとなる。下記の公式な解釈を頭に入れておくように。 「プレイあるいはプレイの企て」とは、ボールを持った野手が実際に走者をアウトにしようとする正当な試みのことである。これには、実際に走者にタッグに行くこと、フォースプレイにしようと塁に走ること、走者をアウトにするために他の野手に送球することが含まれる。実際にその走者がアウトになったかどうかは関係ない。投げるそぶりはプレイ、あるいはプレイの企てとは見做されない。 —————————————————————- 上記のように、公認野球規則7.05(g)および7.10における「プレイ」とは「ボールを持った野手」が「実際に走者をアウトにしようとする行為」です。 設問では、一塁手はボールを弾いて保持すら出来ていないので、「実際に走者をアウトにしようとする行為」など尚更できません。つまりボールには触れましたが、一塁手は7.05(g)で問題となる「プレイ」をしていません。 ということは一塁手が弾いた打球を捕って投げた行為が、「内野手の最初のプレイ」ということになり、進塁の起点は 「投手の投球当時」ということになります。投手の投球当時には一塁走者は一塁、打者走者は打者席にいました。そこから二つの進塁ですからそれぞれ三塁、二塁が与えられることになります。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会