【第138回】タイムをかけるタイミング

ルール改正により、ルール・クイズ記事投稿時とはルールが変更されている場合がございます。
最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんにちは。濱野です。 更新が2週間滞りました。申し訳ありません。ある資格を取得しようと通信制大学に在籍しており、お盆の期間はそのスクーリング授業に参加していました。その間でも更新できるかと思っておりましたがやはり忙しく無理でした。レポートも全て提出し終えたので、復旧して更新して行こうと思います。宜しくお願いいたします。 さて、私が更新できなかった期間中に甲子園で夏の全国高校野球大会が行われていました。そこで多くの方からご質問頂いた済々黌vs鳴門工業のアピールアウトの置き換えの件は番外編で扱うことにして、今回はその前の地方予選で話題になった試合での出来事を取り上げようと思います。 ■ クイズ137(ミドル)■ 話題になったプレイなので、皆様も既に御存知のこととは思います。 武相高校の監督の桑元さん(アトランタ五輪銀メダリスト!)だと思いますが試合終了時に礼を欠いた態度を取ったキャプテンの首根っこをすぐに捕まえてベンチに引きもどしている様子が映像から分かりました。おそらくそこでスポーツマンシップ教育は既に為されたのだと思います。その後いろいろあって、現在は活動中止になってしまいましたが、下級生もスポーツマンシップを理解している監督の下で新たなスタートに向けて頑張ってほしいです。 武相高校側は試合終了時に「タイムをとった」つもりでいたようです。審判がタイムを宣告していなければ発効しません。審判は試合を進行させるのも仕事の一つですからここでタイムをかけなかったことは問題ありません。 しかしネット上の議論を私が覗いて「ん?」と思ったことがあります。「三塁走者が離塁していたから審判はタイムをかけてはいけない場面だった」という意見に多くの人が賛同していたことです。それは違うのではないかなと私は思います。 今回の問題は、審判はどのような状況になったら先週からのタイムの要求に応じても差し支えないのかということです。選択肢は出しません。既に今までのクイズの解説で何度も出てきた概念です。 考えてみて下さい。 ○● 前回の回答(提訴試合)●○ 正解は 1.裁定は正しい でした。 —————————————————————- 公認野球規則 6.05(k)一塁に対する守備が行なわれているとき、本塁一塁間の後半を走るにさいして、打者がスリーフットラインの外側(向かって右側)、またはファウルラインの内側(向かって左側)を走って、一塁への送球を捕えようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた場合。この際はボールデッドとなる。  ただし、打球を処理する野手を避けるために、スリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走ることはさしつかえない。 【原注】スリーフットレーンを示すラインはそのレーンの一部であり、打者走者は両足をスリーフットレーンの中もしくはスリーフットレーンのライン上に置かなければならない。 7.08(b)走者が、送球を故意に妨げた場合、または打球を処理しようとしている野手の妨げになった場合。 7.09(j)走者が打球を処理しようとしている野手を避けなかったか、あるいは送球を故意に妨げた場合。 —————————————————————- 打者走者は本塁一塁間の後半で、スリーフットレーン以外の場所を走っていたからという理由だけでアウトにされることはありません。スリーフットレーン以外の場所を走ったことが「一塁への送球を捕えようとする野手」を妨げたと審判が判断した場合に6.05(k)は適用されます。 具体的に整理して書くと主に以下3つの場合が考えられると思います。(「主に」なので他の場合もあるかも知れません) 1.良い送球に打者走者が当たった場合。 (良い送球とは、打者走者に当たらなければ一塁に入った野手が捕球しアウトにできたであろうと審判が判断できるような送球を言います。Quality throw) 2.良い送球が打者走者の身体には当たらなかったものの、打者走者の体で一瞬送球が隠れたために一塁で守備をしていた野手にとっては急に送球が現れた形となり、結果的に捕球できなかったような場合。 3.一塁をカバーしている野手に体当たりした場合。 123のいずれも本塁一塁間の後半でスリーフットレーンの外を走っていたというのが前提条件であるのは言うまでもありません。 ジム・エバンスは、「この規定の立法趣旨は『体当たり』のプレイから一塁手を保護するためだった」と審判学校で講義していました。「捕球する野手の妨害にならない限り別にどこを走っていても構わない」とも話していました。このそもそもの立法趣旨を理解していれば、送球する野手の妨害になったケースにこの規定を適用するのは頓珍漢であることはわかりますよね。この規定が適用されるのは良い送球が実際に投げられた場合に限られます。 ジムの説明は【原注】と矛盾するようですが、日本のルールブックに原注が入ったのは2007年のことで、だからといって解釈そのものが変更された訳ではありません。 こう説明すると「だったらもし打者走者がフェア地域を走っていて、守備した野手の送球線上にいたら当てろということですか?怪我を防ぐために送球の妨害でもこの規定を適用するべきです!」という反論が聞こえてくる気がします。私は積極的に「当てろ」というつもりはありませんが、米国人の友人の審判たちに言わせると「何のために打者走者はヘルメットを被っているんだ?」くらいのことを言いかねません。 また、打者走者が故意に送球線に入ったと審判が判断すれば7.08(b)または7.09(j)を適用してアウトを宣告すれば良いのです。しかし打球を処理した野手が打者走者が邪魔になったからという理由で一塁に投げなかった場合や送球が反れた場合にまで6.05(k)を適用するのは、国際的野球では通用しないと思います。 6.05(k)は「一塁に対する守備が行なわれているとき、本塁一塁間の後半を走るにさいして、打者がスリーフットレーンを走っていれば(故意に妨害しない限り)アウトにされることはない」と打者走者保護の規定と読むこともできます。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会 -PR- はっきり言ってもっと売れていいDVDだと思います!購入方法はこちら -PR-