【第86回】走塁妨害(ミドル)

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最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんにちは。濱野です。 先週、ライオンズの銀仁朗捕手の件をきっかけに捕手のヘルメットについて取り上げたばかりでしたが、昨日はファイターズの大野捕手も頭に4針縫う裂傷を負ってしまいました。くり返しますよ、軟式を含めた捕手の皆さん!ヘルメットは必ず被ってください! ■ クイズ86(ミドル)■ 無死走者一塁。打者はバントを一塁線のフェア地域に転がしました。前進してきた一塁手が打球をミットで拾い上げました。打者走者は一塁手がタッグをしてくるのではないかと思ったのか本塁の方向に後ずさりし、たまたまそこにいた捕手とぶつかってしまいました。 さて、審判としてはどういう措置をすれば良いでしょうか? 1:オブストラクションA項。接触があった時点でボールデッドとし、一塁走者に二塁を、   打者走者に一塁を与える。 2:オブストラクションB項。接触があった時点で「オブストラクション」のコールだけをしておき、   プレイが終った時点で、もし必要ならば攻撃側の不利益を取り除く。 3:ボールインプレイであるので、”That’s nothing!”のコールをする。 考えてみてください。 ○● 前回の回答(ボールデッド中の帰塁)●○ 正解は・・・ 3:悪送球となったので、守備側は一塁でのアピールはできない。1塁走者はボールデッド中に   正しく逆送して一塁をリタッチした後、3塁が与えられる。   (正しく逆走した後、正しく各塁を踏み直すことが必要である) でした。 【解説】 ————————————————————————————– 公認野球規則 7・10  次の場合、アピールがあれば、走者はアウトとなる。 (b) ボールインプレイのとき、走者が進塁または逆走にさいして各塁に触れ損ねたとき、その塁を踏み直す前に、身体あるいは触れ損ねた塁に触球された場合。(7・02参照) 【付記】 塁を空過した走者は、 (1) 後位の走者が得点してしまえば、その空過した塁を踏み直すことは許されない。 (2) ボールデッドのもとでは、空過した塁の次の塁に達すれば、その空過した塁を踏み直すことは許されない。 【注二】 本項〔付記〕の場合、塁を空過した走者は、アピールがなければアウトにはならない。 【注四】 本項〔付記〕は、飛球が捕えられたときのリタッチが早かった走者にも適用される。 ————————————————————————————– 公認野球規則7.10は【注4】でリタッチが早かった走者にも適用されるとし、また、【付記】(2)で「次の塁」に達すれば、塁を踏み直すことは許されないと規定しています。ところが、不親切にも「次の塁」の基準となる塁は何処なのかを規定していません。今回の設問のポイントはルールブックには記載されていないまさにこの点がポイントとなり、だからこそ「スーパー上級レベル」の問題なのです。 マイナーリーグの全審判が持たされているPBUC Umpire Manualをお持ちの方は、49・50頁にあるPlay14をご参照ください。今回の設問の状況とほぼ同じといって良いでしょう。 ————————————————————————————– c) In the original play may the runner go back and retouch first base while the ball is dead? Ruling: Yes, provided he does so before touching third base (and provided he touches all bases in order, both returning and advancing). (See Official Baseball Rule 7.10(b) Approved Ruling (2); also see Section 6.12, “Retouching Bases when Ball is Dead.”) This is key point. Because the runner left first base too soon, he must return and retouch first base before he touches next base. The runner’s “next base” is determined by his position at the time the ball went out of play. At the time the ball went out of play, the runner must return and retouch first base before touching third. 拙訳 c)このプレイで、ボールデッドの間に一塁に戻ってリタッチすることはできますか? 答:もし、三塁を踏む前であれば可能です。(また、逆送する際は二塁・一塁の順に正しく触れ、リタッチの後、三塁に来るときも二塁に触れることが条件です。)公認野球規則の【付記】(2)、及びこのマニュアルのセクション6.12参照のこと。 以下が理解の鍵です。走者が一塁を早く離れてしまったので、その走者は次塁に達する前に一塁に戻ってリタッチをしなければなりません。走者の「次の塁」とは、ボールデッドになった時点での走者の位置を基準とします。ボールデッドになった時点で、三塁に触れる前に一塁に戻ってリタッチしなければなりません。 ————————————————————————————– ということで正解は3です。何人かにご指摘いただきましたが、私の「悪送球になったので、守備側は一塁でのアピールはできない。」という書き方は良くありませんでした。悪送球で手元にボールがないからアピールはできない→走者が正しくリタッチするのを見ているしかない、という意味で書きましたが誤解を生んだかもしれません。 もちろん、もしこの走者が逆送あるいは三塁進塁時に二塁を踏まなかったり、一塁のリタッチの義務を果たさなければ、球審に新しいボールを投手がもらってインプレイになった後にはアピールによってアウトにすることは可能です。 《追記です》 ここに選択肢2について書いたパラグラフがあって、私のその解説が誤っている(外野手の送球でも三塁しか与えられない)とのご指摘を頂きました。もしかしたら、私のマニュアルの読み方が間違っているかもしれません。 先程までは、偉そうなことを書いておいて恐縮ですが、現在、自分の書いたものの内容が正しいかどうかアメリカの現役組に尋ねるなどして検証中です。数日内にはその検証結果を含めてアップします。 私もまだまだ勉強中なのに、偉そうなことを書いて申し訳ありません。 ちなみに問題の答えは3のままで、変更ありません。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会