【第94回】今度は倒れちゃった…(ビギナー)

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最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんにちは、濱野です。UDCのオフィスはお盆休みですが、ルールクイズは更新します。高校野球も始まりました。前回二回のおさらいの意味で、基本的な問題にしましょう。これで、捕球後にボールデッド地域に選手が飛び込んだ場合は全て網羅しました。 ■ クイズ93(ビギナー)■ 一死走者2・3塁。打者は三塁側のファウル地域にフライを打ち上げました。三塁手は一生懸命打球を追いかけ、素晴らしいスライディングキャッチ。しかし、勢いを止められず、そのままダグアウトに入ってしまいました。 これは審判としてはどう処置すべきでしょうか? 1:三塁手が捕球後プレイングフィールド上で自分の身体をコントロールできなかったので、落球と同じ扱いになり、ファウルボールである。打者のストライクを一つ増やし、走者はそれぞれ戻る。 2:打者はフライアウト。三塁手が観客席に入った時点でボールデッドとし、走者をそれぞれ一つ進塁させる。3塁走者得点で、二死3塁で再開。 3:打者はフライアウト。ボールインプレイで、三塁手はプレイの必要があればダグアウト内から送球してもよい。 考えてみてください。 ○● 前回の回答(今度は観客席だ…)●○ 正解は・・・ 2:打者はフライアウト。左翼手が観客席に入った時点でボールデッドとし、走者をそれぞれ一つ進塁させる。3塁走者得点で、二死3塁で再開 でした。 えー!?っていう声が聞こえてくるような気がします。 だって「エキスパート」の問題レベルですよ。 【解説】 ————————————————————————————– PBUC MANUAL 9.1 LEGAL CATCH Play 1: Bases loaded, one out. Fielder catches fly ball and momontum carries him into the stands. Fielder remains standing. Can hee fielder throw for a play? Ruling 1: No. “Time” is called and all runners advance one base. 問:一死満塁。野手がフライを捕ったが、走った勢いでスタンドに入ってしまった。その野手は立ったままでいた。この野手はスタンドからプレイのために送球できるか? 答:できない。タイムをかけて全ての走者に一つ塁を与える。 公認野球規則 6.05  打者は、次の場合、アウトになる。 (a)フェア飛球またはファウル飛球(ファウルチップを除く)、野手に正規に捕えられた場合。 【原注】野手は捕球するためにダッグアウトの中に手を差し伸べることはできるが、足を踏み込むことはできない。野手がボールを確捕すれば、それは正規の捕球となる。ダッグアウトまたはボールデッドの個所(たとえばスタンド)に近づいてファウル飛球を捕らえるためには、野手はグラウンド(ダッグアウトの縁を含む)上または上方に片足または両足を置いておかなければならず、またいずれの足もダッグアウトの中またはボールデッドの個所の中に置いてはならない。正規の捕球の後、野手がダッグアウトまたはボールデッドの個所に倒れ込まない限り、ボールインプレイである。走者については7・04(c)〔原注〕参照。 7.04  次の場合、打者を除く各走者は、アウトにされるおそれなく一個の塁が与えられる。 (C)野手が飛球を捕えた後、ベンチまたはスタンドに倒れ込んだり、ロープを越えて観衆内(観衆が競技場内まで入っているとき)に倒れ込んだ場合。 【原注】野手が正規の捕球をした後、スタンド、観衆、ダッグアウト、またはその他ボールデッドの個所に倒れ込んだり、あるいは捕球した後ダッグアウトの中で倒れた場合、ボールデッドとなり、各走者は野手が倒れ込んだときの占有塁から一個の進塁が許される。 ————————————————————————————– 該当する公認野球規則は前回同様、6.05(a)と7.04(c)です。 それを読む限り、今回の答えは「4:プレイは成立する。打者はフライアウト、三塁走者タッグアウトでチェンジとなる。」となるはずです。フィールド内で野手が確保した後にボールデッドの地域に出てそれでも倒れこまずに立っていたのですから。 しかし、アメリカのアンパイアマニュアルでは、同じようにボールデッドの場所に捕球後にボールを持ちこんで立っていた場合でも、ダグアウト(ベンチ)とスタンドで運用を変えています。 その理由までは書かれていないので、以下は私、濱野の私見になりますが、同じボールデッドの場所とはいうものの、両方のダグアウトにいるのは試合の参加者である選手・コーチ監督であるのに対し、スタンドにいるのは観客の皆さんです。 お年寄りや、小さな子もいるかもしれません。観客の安全を確保することを考えると、ファウルボールが飛んでくるのは不可抗力としても、身体の大きな選手が物凄い勢いで突っ込んでくることはできれば避けさせたい事態です。飛び込んだ選手も怪我する可能性がありますし。 そのために上記の規定がマニュアルに盛り込まれたのかと思われます。 今回のクイズは、「エキスパート」ですから、できないで当たり前です。出題者の意地が悪いです。とにかくアメリカのプロ野球の現場ではこのように運用されているよという豆知識を皆さんにお伝えしたかっただけです。 日本の球場の外野フェンスはアメリカのそれと違い、高く作られているので、ファウルボールを追いかけた選手が突っ込んでくるということはまず考えにくいです。アマチュア野球では、基本的には公認野球規則どおりの運用で良いと思います。しかし、各グラウンドによって事情も違ってくるでしょうから、所属する団体でよく話し合って決めて下さい。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会