【173回】”Show UP” と” “To redicule an umpire”

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こんにちは。濱野です。 昨日も某所で審判をしてきたのですが、久々に監督と口論してしまいました。 そのチームが守備についているとき、2アウトで2ストライク後の投球を打者が見逃す度に、内野手が球審である私の判定を待たずにベンチに帰ろうとするのです。 私は「ボール」の判定をした後、タイムを宣告して内野陣に「帰ろうとしたのはどういう意味?投球判定が間違っているってこと?」と言いました。監督がベンチから「ストライクだと思ったのだと思います」と代わりに答えました。「あなた方は審判じゃないし、不愉快だから止めなさい」と注意したところ、「そんなのいいじゃねぇかよ!みんなやってんだろ!こっちは楽しくやってるんだから」と監督が口調を変えました。「相手チームはやってないよ!お前だけが楽しけりゃいいのかよ!俺は楽しくないよ!試合に残りたいなら俺が止めろっていうことは止めろ!」というような具合です。 直接、判定に異議を唱えている訳ではないですが上記の行為は審判を”ridicule”(悪意をこめて馬鹿にする)ことになるので退場となっても仕方ない、少なくとも警告の対象になる行為です。 退場になった例 日本の野球界ではこのような行為に対して、選手も指導者も、また審判自身も鈍感です。 ですから、このチームの監督が言ったように「みんなやっている」ということになるのだと思います。実際は「みんな」ではなくマナーの悪いチームだけではあるものの、その数は決して少なくありません。 「控えめ」な人が好かれるのが、日本の国民性です。試合中に選手や監督に嫌な思いをさせられても我慢をしてしまう審判がほとんどなのでしょう。だから「みんながやっている」という状況が続いてしまうという悪循環です。日本におけるスポーツマンシップ確立のために、まずは、審判が選手や監督の不愉快な行為に対して「不愉快だ」と声を挙げることが大事ではないでしょうか?強気に出る分、審判として舐められないように日々の研鑽を欠かすわけには行かなくなります。「あの審判偉そうにしてたけど、下手くそだったな」なんて陰口叩かれたら悔しいじゃないですか。審判技術を向上させる努力が伴って初めて、強い態度に出られるのです。 恐らく、昨日のチームの監督は「あんなことで怒る審判、あいつだけだよ」と思っているに違いありません。皆さんにお願いです。私を一人にしないで下さい。審判の方が変わっていかないと、日本の野球界におけるスポーツマンシップの現状も今のままです。審判はゲームコントロールが第一の仕事なので、時には監督やコーチに傲慢に見られることは仕方がありません。日本のスポーツの審判に必要なのは「どんなことを言われても我慢する」覚悟でなく、「傲慢に見られることは仕方がない」と思う覚悟と諦めであると私は思います。 「ここは日本だ!」という声が聞こえてきそうですが、野球は2020年の五輪競技復帰を目指している国際的スポーツだということを忘れないで頂きたいと強く思います。 ■クイズ173(エキスパート)■ 枕話の続きです。以下の行為で、退場や警告の対象になるのはどれでしょうか? 1.打者が3ボールの後の投球を「ボール」と決めつけてベンチの方向にバットを投げる 2.打者がストライクの判定の後、打者が投球の軌道だと思った場所に線を描く 3.捕手が「ボール」の判定に後ろを向く 4.捕手が「ボール」の判定の後に、これみよがしにずっとミットを動かさず止めておく 5.既にアウトの宣告をされた打者走者が一塁塁審の方を見てピョンピョンと飛び跳ねる。 考えてみて下さい。 ○● 前回の回答(判定の変更)●○ 正解は 2.ボールインプレイで試合続行 でした。 ≪解説≫ このプレイについてはこの欄でも数回取り上げているのでクドイかなと思ったのですが、それにも関わらずまだ浸透していないようなので更に取り上げることにしました。 ——————————————————————– 6.05 (k)一塁に対する守備が行なわれているとき、本塁一塁間の後半を走るに際して、打者がスリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走って、一塁への送球を捕らえようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた場合。この際は、ボールデッドとなる。  ただし、打球を処理する野手を避けるために、スリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走ることはさしつかえない。 【原注】スリーフットレーンを示すラインはそのレーンの一部であり、打者走者は両足をスリーフットレーンのライン上に置かなければならない。 —————————————————————— この6.05(k)は、野球規則の中でも最も誤解されているものの一つです。 スリーフットレーンの外側を走って一塁での送球を捕えようとする野手の動作を妨げるとは、以下の三種類の行為が考えられます。 1.捕球しようとする野手に体当りする そもそもこの規定は、一塁手に体当たりして落球を誘発する行為の禁止を目的につくられました。本塁での激突プレイについての議論が日本では最近話題になっていますが、アメリカは良くも悪くもマッチョな文化ですから一塁においても過去には激突プレイが行われていたということです。本塁での激突プレイはほとんどの場合、既に捕手がボールを保持してホームプレート上に立って、走者を待ち構えているという状況で起こります。ある程度予見可能なのです。しかし、一塁でのフォースプレイの場合は一塁手は送球を捕るのに精一杯で、向かってくる走者のことまで気が回りません。まして一塁手はフォースプレイで一瞬でも早く捕球するために体を送球の方向に伸ばしているので、ぶつかられたら大怪我になります。 2.良い送球が送球が走者に当たる 3.打者走者が一塁で良い送球を捕えようとする野手の視界を一時的にでも遮ったことにより、捕球が不可能になる 体当たり行為については、送球の起点は関係なく打者走者にアウトが宣告されますが、2および3では、送球の起点が捕手の方向に限定されます。というのは、送球線と走路が一致あるいは近接しない限り、上記の現象は起こらないからです。ですから、三塁ゴロを捌いた三塁手からの送球がスリーフィートレーンの外を走っていた走者に当たったからといって妨害でアウトとはなりません。 【原注】と矛盾するのでは?という質問が有りそうなので、先に答えておくと、この【原注】が書かれたのは2007年、つい最近のことです。この原注は前半部分のみが大事です。スリーフィートレーンを定義しているだけで、後半の「両足がスリーフットレーンのライン上にあれば、妨害が宣告されることはない」という意で、原注が入っても本文の解釈には変更はありません。 ★UDC野球ルールクイズ委員会 -PR- 春から新たに野球審判を始める方、ぜひ見て下さい!オンラインショップでも 扱っています。-PR-