【175回】A項? B項?

ルール改正により、ルール・クイズ記事投稿時とはルールが変更されている場合がございます。
最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんにちは。濱野です。 関東は急に暑くなりました。皆様のお住まいの地域は如何でしょうか?私も昨日、猛暑日のグラウンドに出かけ、終わってから水のようなシャワーを浴びても一時間ほど汗が引きませんでした。現役時代のブログにも書いたのですが、私はこの高温多湿の日本の夏の経験があったので、フロリダのルーキーリーグ、ガルフコーストリーグのシーズンの暑さなど、全く大したことありませんでした。これからの季節の野球審判は熱中症の危険と隣り合わせとなりますので、みなさまもお気をつけて下さい。 ■クイズ175(エキスパート)■ 今回は頂いた質問を少し改変して、皆様にシェアします。 無死走者一塁。ヒットエンドランが掛かっていました。右打者はきれいに流し打ち、ライト前の安打になりました。右翼手がボールを捕って三塁に投げようとした瞬間、三塁を狙った一塁走者と遊撃手が接触しましたが、一塁走者はそのまま走塁を続けました。右翼手から直接三塁手にボールが届き、かなり余裕をもってアウトになりました。 さて、あなたが審判ならば、どのような裁定を下しますか? ○● 前回の回答(二塁手は難しい。)●○ 正解は 二塁に滑り込んだときに塁に体の一部が届くか、否か でした。 ————————————————————————————– 公認野球規則 7.09(e) アウトになったばかりの打者または走者、あるいは得点したばかりの走者が、味方の走者に対する野手の次の行動を阻止するか、あるいは妨げた場合は、その走者は、味方のプレーヤーが相手の守備を妨害(インターフェア)したものとして、アウトを宣告される。 6.05(m)野手が、あるプレイをなし遂げるために、送球を捕らえようとしているか、または送球しようとしているのを前位の走者が故意に妨害したと審判員が認めた場合。(打者はアウトになる) 【原注】この規則は攻撃側プレーヤーによる許しがたい非スポーツマン的な行為に対するペナルティとして定められたものであって、走者が塁を得ようとしないで、併殺プレイのピボットマン(併殺の際、ボールを継送するプレーヤー。すなわち遊撃手-二塁手-一塁手とわたる併殺なら二塁手、二塁手-遊撃手-一塁手の併殺ならば遊撃手がピボットマンである)を妨害する目的で、明らかにベースラインからはずれて走るような場合適用されるものである。 ————————————————————————————– 野球規則に書かれているのは、上記の文章だけです。これだけを読んでしまうとジョーンズ選手のスライディングは守備妨害となり、既にアウトになった走者の妨害で打者走者にもアウトが宣告されるべきであるかのように思えてきます。実際、日本のアマチュア野球ではこのようなスライディングは許されておらず、プロにおいても日本人選手でこのようなスライディングをする選手はあまりいません。 しかし、上記の文章は「明らかにベースラインからはずれて走る」というところが少し曖昧なのでアメリカの審判マニュアルにはそこがしっかり明記されています。 ————————————————————————————– PBUC MANUAL 7.4 INTERFERENCE BY RUNNER ALREADY PUT OUT If any batter or runner who has just been put out or any runner who has just scored, hinders or impedes any following play being made on a runner, such runner should be declared out for the interference of his teammate. The runner should be able to reach the base with his hand or foot if he is attempting to break up a doulble play. 7.4 既にアウトになった走者の妨害  アウトになったばかり、あるいは得点したばかりの走者が他の走者に対するプレイを妨害した場合、チームメイトの妨害によってその走者もアウトになる。もしダブルプレイを崩す企てをする場合には、走者は手あるいは足がベースに届かなくてはならない。 ————————————————————————————– 例えば身長180cmのプレイヤーがいて、その手の長さが80cmなら二塁ベースから260cmに渡って6.05(m)に運用に関しては走者の走路となるわけです。 上記の引用は、私の現役時代のマニュアルの文章で、今のマニュアルとは違う項目になっていますが、書かれている内容には変わりありません。最新のものをお持ちの方は68ページを御覧ください。 ルールの話は以上です。日本の場合、審判イコール指導者というケースも少なくないので、敢えてここで大きく脱線します。 私はこの規定のために、遊撃手よりも二塁手は難しいポジションであると思います。どちらもピヴォットマンとしてダブルプレイを完成させるのに重要なポジションですが、遊撃手は他の野手からの送球を捕って一塁手へ転送する間、ずっと一塁から走ってくる走者の動きが視野に入っています。対して二塁手は、三塁手や遊撃手の送球を捕るときは一塁走者の動きを見ることができず、送球のために一塁手の方向を見たときには既に一塁走者がすぐそこに来ているという状況が殆どです。 それでも日本の(アマチュアの)野球では、二塁キャンバスの一塁を向いた側面をだけを避けてステップすれば足を刈られることはないでしょう。しかし、野球が国際化した現在では二塁ベースの両側の約2.5mは走者が走ってくるとの認識で、二塁手は守備をしなければならないと思います。 具体的には、国際化した野球の場では、どんな場合でもダブルプレイにおいて二塁手は右足で二塁を踏むべきではなく、また、走者が走ってくる範囲にステップすべきでなないということです。もしそれをやってしまうとどういうことになるかを例示すると、 このプレイがなかったら、岩村選手はまだメジャーで活躍できていたかもしれないと思うと、残念でなりません。右足で二塁を踏むと必然的に両足が走者の走路に入ってしまうことになり、これが足を刈られ大怪我をするという根本の原因なのです。西岡選手はせっかく右足で塁に触れていたのに、走者の走路にステップしてしまい足を刈られてしまいました。西岡選手が「塁の両側の2.5Mは危ない」という認識を持っていたなら、一塁に転送するための足のステップは違ったものとなっていたはずです。 前回の出題で紹介したライオンズの山崎選手の足も、刈られる場所にありました。ジョーンズ選手からしてみてら、「何故ここに足があるの?」という感じかもしれません。 二塁手の怪我をしない動きを挙げておきましょう。映像再生前の静止画の二塁手の位置を見て下さい。ここに足を置いておけば、足を刈られることはないと思いますが、如何でしょうか?youtubeで「5-4-3 doubleplay」で検索しましたが、この例と違う足運びをしているMLBの二塁手は一人もいませんでした。 こうすれば、必然的に体が(走者から見て)後ろに残ることになり、すべてのプレイを二塁の後方で行うことになります。このようにすれば、走者がどのようなスライディングをしてきても接触は起こらず、仮に接触があったとしてもスライディングの結果走者のスピードは落ちているはずなので、ベースの前方で足を刈られるよりは怪我の可能性も少なくなるということです。デメリットとしては、やはり一塁への距離が右足で踏むよりは遠くなるので、二塁手にも遊撃手同様の強肩が求められるということです。 ブルージェイズのホセ・レイエス選手の怪我が癒えて、川崎選手は二塁手として出場する機会が増えると思います。川崎選手が多くの先駆者と同様に足を刈られないように祈るばかりです。 とにかく、二塁手は「走者が塁に向かってまっすぐ滑ってこない」ことを前提にプレイをすべきですし、指導者も国際化時代の野球で、怪我しないためにどういうプレイが必要かをジュニアの時代から教えていくべきではないでしょうか? 今回は審判としてというよりは、アメリカ野球を目の前で見てきた人間としての意見を書かせて頂きました。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会