【176回】怒りを買う理由がある

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こんにちは。濱野です。 日米大学野球で国際親善試合なのに残念なことが起きたようです。 私は直接試合を見ていないので、いろいろ調べました。四回の死球で日本の選手が激昂したことから、不穏な空気になったようです。 アメリカ人にはどこまで行っても「Baseballはアメリカで生まれたスポーツ」という意識があると思います。日本に野球が輸入されて100年以上の歴史があるといっても、この意識は決して覆せません。 日本人が相撲や柔道に持っている意識と似ていると思います。大相撲に日本人の横綱がいなくても、外国人には極めて理解し難いだろう「品格」という抽象的概念を求めますし、柔道にしても、五輪競技となった今でも外国人選手に時折見られる一本を狙いに行かず、しっかりと組まずにポイントだけを取りに行くようなスタイルには違和感を覚える日本人は私だけではないと思います。 それと同じような、言葉では説明しにくい「特別な感覚」がアメリカ人にはあってそれを外国のプレーヤーが侵してしまうと衝突が起こるということです。 ■クイズ176(ビギナー)■ ということで、今回はその試合の映像から出題です。 米国チームの三塁手が本塁打を打った日本人選手に怒りをぶちまけています。この野手の行為は勿論褒められたものではありません。映像では写っていませんが、一塁付近で大きなガッツポーズをしたためと報道されていますが、他にも、米国チームの神経を逆撫でする行為をこの打者はしてしまいました。映像にもその行為はきちんと記録されています。 さてそれは何でしょうか?映像再生前の静止画にその場面が写っているので極めて易しい問題になってしまいましたが、考えてみて下さい。 ○● 前回の回答(A項? B項?)●○ 正解は オブストラクションA項で三塁を与える でした。 ————————————————————————————– 7.06(a) 走塁を妨げられた走者に対してプレイが行なわれている場合、または打者走者が一塁に触れる前にその走塁を妨げられた場合には、ボールデッドとし、塁上の各走者はオブストラクションがなければ達しただろうと審判員が推定する塁まで、アウトのおそれなく進塁することが許される。 【注3】たとえば、走者一塁、打者が左翼線に安打したとき、左翼手は一塁走者の三塁への進塁をはばもうとして三塁へ送球したが、一塁走者は二塁を越えたところでボールを持たない遊撃手と衝突したような場合、審判員が遊撃手の走塁妨害を認めれば、オブストラクションを宣告して、ボールデッドにし、一塁走者に三塁の占有を許す。 ————————————————————————————– 上記の規定に関わらず、外野からの送球に関しては基本的にB項が適用されると考えておいた方が良いです。 ここで何度も解説しているように【注】というのは、日本の規則独自に規則委員会が理解の助けになるように補足説明をしてくれています。私はこの【注3】の更なる補足説明を致します。 すぐ前で、外野からの送球は、基本的にB項が適用されると書きましたが、当然例外的にA項となる場合もあります。条件は二つ。 1.オブストラクションが発生した段階で、外野手が走塁を妨げられた走者が進もうとしていた塁に向かって、既に送球しているか、あるいはまさに送球しようとしている状態(ボールを持って腕を振っている状態)になっていること。この態勢になっていなければ、「走塁を妨げられた走者に対してプレイが行なわれている」とは言えません。他の塁に送球する可能性があるからです。 2.その送球が実際に塁に届いて、走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われること。外野手からの送球は、他の内野手がカットして他の塁に転送してしまうことも多いです。そうなれば、「プレイが行なわれる」という定義から外れてしまいます。 ということで、送球の起点が外野からの場合、A項を適用するにしても送球の行方(本当にその走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われるのか)を見なければならないので、即時にボールデッドにできないという事情があるのです。 さて、ここまでの解説を踏まえて、設問に戻ります。 設問は上記二つの条件を満たしているので、外野手からの送球ですがA項を適用することになります。会員さんの質問では、現場の審判は「オブストラクションが無くてもアウトだった」つまりB項で試合を進めたそうですが、実際はA項で走者を三塁に生かさなくてはなりませんでした。 ※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。 ★UDC野球ルールクイズ委員会