【177回】走塁放棄?フォースプレイ?

ルール改正により、ルール・クイズ記事投稿時とはルールが変更されている場合がございます。
最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんばんは。濱野です。
都市対抗野球が終わって、高校野球の地方予選が大詰めを迎えていますね。私の母校は神奈川県の普通の県立高校ですが、古豪私学のシード校を破ってベスト16入りしました。準々々決勝(?)で再び強豪私学と当たりそこで敗退しましたが、点差によるコールドにならず9イニングできたことは誇って良いと思います。皆様の母校は如何でしょうか?

クイズ177(エキスパート)

質問箱からです。机上の空論でなく、実際に起きた事例だそうです。私は自信を持って頂いた質問に答えられなかったので、ジム・エバンスにその質問を転送し、ようやく返事が帰ってきたので皆様にシェアすることができます。

ノーアウト満塁で打者が左中間に大きなフェア飛球を打ちました。レフトがボールをグラブに触れた後、3塁走者はタッグアップしました。2塁走者と1塁走者は少しリードしていましたが捕球されると判断しそれぞれ2塁、1塁へと戻りました。すると、レフトが落球し、ノーキャッチのジャッジがされました。落球したボールが内野に返球されました。3塁走者はホームイン、2塁走者は2塁、1塁走者が1塁にいました。打者走者は捕球されるものと思い込み、レフトが落球した時点で1塁側ベンチに入り、落球後も走塁することはありませんでした。レフトからの返球を受けた内野は、3塁べースをタッグ、続いて2塁べースをタッグ、1塁ベースをタッグしました。

もしあなたが審判だったら、どのように試合再開(得点の可否、走者の位置とアウトカウント)しますか?
何故そうなるのかの理由とともに考えて下さい。

前回の回答(怒りを買う理由がある)

正解は
故意に死球をもらいにいった
でした。

打者用シンガードやエルボーガードが普及してからというもの、硬式野球でも時折軟式野球のように故意に投球に当たりにいく選手が増えて来ました。彼も内角高めに外れたブレーキングボールに故意に当たりに行ったように私には見えます。我が国では、エルボーガードの使い方を間違えている選手が多すぎると思います。

球審の方も打者に一塁を与えなかったので、やはり打者が故意に当たりに行ったと見たようです。

日本だったら、「何としても出塁しようとした」というチームのために献身した行為のように肯定的に言われることもある一方で、わざと死球を貰いにいくような行為をした打者は軟式の草野球の試合でも、相手チームから罵声を浴びることもあります。そのような日本においてすらスポーツマンシップ的に問題のあることとされていることを何故国際試合でやったのか、私は理解出来ません。『日本代表』の意味を分かっているのでしょうか?

アメリカ野球ならば、次の投球で投手は「ストレート系」で背中辺りにぶつけてくると思います。しかし親善試合で、しかも既に警告試合になっていたからでしょうか、バッテリーは自重して勝負した結果本塁打となりました。

米国チームの三塁手の怒りは、そのような日本の野球だったら当たり前に行われている慣行に対するものでもあったと思われます。私の推測の域を出ませんが、第一戦から第六戦まで試合をしてきて、日本の「スポーツマンシップ」にに対してフラストレーションを貯めていたアメリカチームが最終日に爆発してしまったのかもしれません。

昨年とりあげたIBAF U18の本塁でのタックルも伏線があったようです。
実況ではなく、なぜか音楽が流れます。再生の際はご注意を)、

我が国では、捕手が走者に飛ばされたところだけがクローズアップされていますが、このオブストラクションがその伏線であったと思います。三塁手が故意に走路に入ったようにも見えました。米国チームは走塁を妨げられた走者が本塁をもらえなかったこともあって、監督やベースコーチも憤っている様子です。

日本の野球では「みんなやっている」ことでも、それが「Baseball」の世界では許されないことが多々あります。捕手がミットを動かすことや走者が意図的に打球を隠すこともそうですし、盗塁を助けるという意図での「時間差スイング」などもそうです。(そのようなプレイに対し妨害を宣告できずにいた審判にも責任があると思います)

塁上での激しいコンタクトプレイにはとても敏感であるのに、このようなスポーツマンシップを疑われるようなプレイに対して日本の野球界は余りにも鈍感だと私は思います。日本人が柔道や相撲に参加する外国人にその精神性を学んで欲しいと思っているのと同様、日本に野球が導入されて100年以上経つとはいっても我々もベースボールが持っているその精神性を学ぶ必要がまだまだあるのではないでしょうか?

このようなことを書くと「UDCはアメリカかぶれ」と一蹴されそうです。しかし私がこれを審判向けに書いているのは意味があります。アマチュアでも各世代で国際試合が増えており、日本からも審判が派遣されるということもあるでしょう。自国チームの試合は裁かないのが通例ですから、例えばアメリカvsドミニカとか、プエルトリコvs台湾、等の試合を日本人審判は担当することになるでしょう。その時に、ベースボール的スポーツマンシップ(米国野球≒国際野球の不文律と言っても良いでしょう)を理解しておかないと、ゲームコントロールができないのです。WBCの予選でメキシコとカナダの試合で乱闘になりかけたのは記憶に新しいところです。日本の審判が世界で活躍するために必要だと思うのでこのような文章を書いた次第です。

※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。

★UDC野球ルールクイズ委員会