【183回】ホームプレート周辺の接触

ルール改正により、ルール・クイズ記事投稿時とはルールが変更されている場合がございます。
最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんにちは。濱野です。

東京にオリンピックがやってくることが決定したすぐ後に、野球ソフトボール連合の五輪正式種目復帰失敗も決まりました。

正式種目となったのは、我が国がメダルに手が届くであろう選手を沢山抱えているレスリングであるので、ひとりの日本人としては安堵し、また野球人としては落胆しているという変な気分です。

「野球が五輪競技にならないのは欧州のせいだ!」と言いたくなりますが、しかし欧州にも野球好きはいるのです。一昨年、私はジムのスイスでのヨーロピアンクラシック(一週間の審判講習会)に呼んで頂きました。隔年開催で、こんどは来年4月にオーストリアのアットナング=ブッフハイムという街で行われるそうです。

http://www.umpire.at/JEEC/

聞いたことない街の名前ですが、確認したところ音楽の都ウィーンよりむしろ隣国ドイツのミュンヘンの方が近いようです。どちらにせよ、ウィーン以外のオーストリアの都市の名前は日本人にとって馴染みはないですね(笑)

私が言いたいのは、「欧州では野球は行われていない」なんていうステレオタイプな偏見は持つべきではないということです。オーストリア(ラリアでなくリアです!最近は紛らわしいのでオーストリーと呼んで欲しいらしいです)の我々も知らない街にも立派な野球場がきちんとあって、チームも活動しています。内野にも芝が植わっていて、羨ましいくらいの球場です。

http://www.athleticsbaseball.at/

以前も書きましたが、Jリーグが発足する以前からサッカーを愛する人は存在していたのと同様に、マイナーな競技と見なされていても欧州でも野球好きは決して少なくない数存在するのです。我々のようないわゆる野球先進国にできることは、辛抱強く彼らをサポートしていくことだと思います。ジムもそのようなつもりで欧州で講習会をやるのだと思います。

私や他のUDCのインストラクターが呼んでもらえるかは分かりませんが、興味のある方は連絡下さい。

クイズ183(ミドル)

今回も質問箱からシェアさせて頂きます。

一死満塁、内野陣は前進守備。打者は遊撃手前にゴロを打ちました。遊撃手はこの打球を処理し本塁 へ送球しましたが、三塁側へ若干逸れたワンバウンドとなり、 捕手はファンブルし三塁線上に転がりました。これを拾おうとしたところに三塁走者が本塁突入のためスライディング、捕手と接触してしまいました。 三塁走者は本塁に触れることには成功しましたが…

久々に三択問題にしましょうか。

  1. 得点を取り消し守備妨害で三塁走者アウト
  2. むしろ走塁妨害の可能性があった。
  3. どちらでもない。

考えてみてください。

前回の回答(ファイナルスコアは?)

正解は
監督の抗議は正しくなく、得点は2点である
でした。

公認野球規則4.09 (a)
三人アウトになってそのイニングが終了する前に、走者が正規に一塁、二塁、三塁、本塁に進み、かつ、これに触れた場合には、そのつど一点が記録される。

【付記】第三アウトが次のような場合には、そのアウトにいたるプレイ中に、走者(1、2にあたる場合は全走者、3にあたる場合は後位の走者)が本塁に進んでも、得点は記録されない。

(1) 打者走者が一塁に触れる前にアウトにされたとき。(6・05、6・06参照)

(2) 走者がフォースアウトされたとき。(7・08e参照)

(3) 前位の走者が塁に触れ損ねてアウトにされたとき。(7・10a、b、7・12参照)

【原注】 規則説明打者走者のアウトが1塁に触れる前のアウトの形をとり、それが第三アウトにあたったときは、たとえ他の走者がそのアウトの成立前か、あるいはそのアウトが成立するまでのプレイ中に本塁に触れていても得点は記録されない。

上記の規則を踏まえて、監督の抗議が何故正しくないのか考えましょう。

4.09【付記】(1)(2)に当てはまる場合は、全走者の得点が認められないことになりますが、
打者走者が触れて行かなかったのは、一塁ではなく、二塁ですよね。一塁にはきちんと触れたので、(1)は対象外ですし、アピールは打者走者の二塁触塁についてものです。打者走者に対してフォースプレイが起こり得るのは一塁だけですから、これも違います。

次に(3)について見ても、アピールが為されたのは打者走者です。つまり最後尾の走者なので「前位の走者の走塁の失敗」についてのアピールではないです。

しかし、この監督が勘違いしているのはこれらのポイントではなさそうです。 どうやら「いわゆるタイムプレイ」の概念はおぼろげには分かっているようで、得点が入ることには文句は言っていませんね。

「タイムプレイ」とは、第三アウトの成立と走者が本塁に触れるのがどちらが早いかが問題になるものです。アピールプレイの場合も同様です。つまりアピールの原因となる、「走者の過失」(設問の場合では、打者走者の二塁空過)が発生した時点で前位の走者が本塁に触れていたかどうかが問題になるのではなく、あくまでフォースアウトを除く第三アウトが成立した時点で、前位の走者が本塁に触れていたか否かが問題になるのです。

お分かり頂けたでしょうか?もし監督の言うように「走者の過失」をタイムプレイの基準にしたら満塁のケースの球審は全ての走者の触塁と前位の走者の本塁到達の瞬間を見ていなくてはならず、そんなことは不可能なことは皆様にもすぐに分かると思います。

単純に第三アウト成立の瞬間以前に前位の走者が本塁到達したかどうか、です。

★UDC野球ルールクイズ委員会