【185回】出題者の意図は?

ルール改正により、ルール・クイズ記事投稿時とはルールが変更されている場合がございます。
最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんにちは。濱野です。

だいぶ更新が滞りました。申し訳ございません。
先週末にUDC東日本大震災復興支援セミナー・クリニックに宮城県仙台、そして石巻と出かけてきました。のべ80名を超える皆様にお会いすることができて、大変嬉しく思っております。

当然、それがこれだけ更新が滞った訳ではありません。10周年記念行事、および仙台セミナーに来て頂いた方には既に紹介済ですが、新たにUDCが取り組む新しいサービスに注力しておりました。

まずは、「ルール講座(打者と打者走者のルール)」から開講いたします。詳細はまもなくUDCのホームページにて近日公開致します。

クイズ185(ミドル)

走者一塁、投手がセットポジションに入りました。走者は二塁にスタートを切りましたが投手は微動だにしません。二塁に達した走者はそのまま三塁にも達し、投手は悟りの境地に達したのか、それでも動きません。三塁に達した一塁走者は今度は本塁へスタートを切りましたが、それでも投手はセットポジションを崩しませんでした。一塁走者が本塁を踏んで、ダグアウトに入っても投手はそのままでした。走者が塁上からいなくなった後、ずっとセットポジションを崩さずにいた投手はようやく第一球を打者に投球しました。打者は打ちましたが、投手前に転がるゴロになりました。ゴロを捕った投手は一塁に送球せずに、ボールを故意にスタンドに投げ入れました。

審判がとるべき正しい処置を考えてみて下さい。

前回の回答(前進守備で…)

正解は
守備妨害である。
でした。

※米国≒国際ルールでの話です。

公認野球規則
7.09 次の場合は、打者または走者によるインターフェアとなる。
(k)野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域で走者に触れた場合。
ただし、走者がフェアボールに触れても、
(1)いったん内野手(投手を含む)に触れたフェアボールに触れた場合。
(2)一内野手(投手を除く)に触れないでその股間または側方を通過したフェアボールに、すぐその後方で触れても、この打球に対して、他のいずれの内野手も守備する機会がない場合。
には、審判員は走者が打球に触れたという理由でアウトを宣告してはならない。
しかし、内野手が守備する機会を失った打球(内野手に触れたかどうかを問わない)でも、走者が故意にその打球をけったと審判員が認めれば、その走者は、妨害(インターフェア)をしたという理由でアウトの宣告を受けなければならない。(5.09f、7.08f参照)

上記7.09(k)(2)の私が赤字にした箇所の日本語を読んでしまうと、確かに守備妨害ではないという解釈が成り立つかもしれません。

しかし、規則委員の先生方のご苦労は理解した上で、野球とベースボールが同一の競技であるとすれば日本の公認野球規則は米国のそれを忠実に訳したものでなければならないはずです。というわけで原文にあたってみることにしましょう。

7.09
(k)A fair ball touches him on fair territory before touching a fielder. If a fair ball goes through, or by, an infielder, and touches a runner immediately back of him, or touches the runner after having been deflected by a fielder, the umpire shall not declare the runner out for being touched by a batted ball. In making such decision the umpire must be convinced that the ball passed through, or by, the fielder, and that no other infielder had the chance to make a play on the ball. If, in the judgment of the umpire, the runner deliberately and intentionally kicks such a batted ball on which the infielder has missed a play, then the runner shall be called out for interference.
<拙訳>
野手に触れる前のフェアボールに走者に触れた場合、妨害となる。もしフェアボールが内野手の股間やすぐ横を抜けて、その野手のすぐ後ろで触れた場合、あるいは野手によって方向を変えられえたものに触れた場合は、審判は打球に触れたという理由で走者にアウトを宣告すべきではない。アウトを宣告しないという判定を下すに際しては、ボールが野手の股間かすぐ横を通り、かつ他の野手の守備機会がないということを審判員は確信していなければならない。もし審判の判断において、走者が、内野手のミスした打球(股間やすぐ横を抜けたもの、野手に方向を変えられたもの)を故意に蹴った場合、走者は守備妨害でアウトを宣告される。

上記の訳は、私が日本語の規則書を全く見ずに、英語のルールブックの文章だけを見て訳したもので、そして米国ではこの訳の通りの解釈がされています。

大原則として走者はフェアの打球に触れてはならないのです。 日本語のルールブックは、基本的には英語のそれを訳したものです。訳本の宿命として、誤訳や原文のニュアンスを伝えきれないということがありますが、やはり日本語の規則書もその宿命からは逃れられません。日本の規則委員会の先生方には申し訳ないですが、現状の7.09(k)の訳は、多くの人の誤解を招いていると言わざるを得ません。

Baseballと野球が同じ競技であるならば、ルールの解釈も同じであるべきです。

但し、現状では当然ながら日本で行われる野球は日本の規則書に基づいて行われているので、野手と別の野手の間を抜いた打球が、走者に当たった場合、後ろの方の野手(例、一塁手と二塁手なら通常二塁手の方が後方に位置しているので二塁手、三遊間なら同様の理屈で遊撃手)の位置よりも後方で(野手とボールとの横の位置関係は問わない)打球に当たっても、内野手が既に守備機会のないからという理由でアウトにしないとしている団体も多くあるようです。ということで、皆様の所属の団体の取り決めに従って下さい。

※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。

★UDC野球ルールクイズ委員会

濱野でした。