【186回】あけましておめでとうございます。

ルール改正により、ルール・クイズ記事投稿時とはルールが変更されている場合がございます。
最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

濱野です。
あけましておめでとうございます。

プロ野球選手の正月はキャンプが始める2月だと言われることがあります。しかしアマチュア野球が本格的に始まるのは3月ですね。ホームページの「質問箱」にもポツポツと投稿が入り始めて来ました。というわけで、オフシーズンだったこのコーナーも本日再開です。

このコーナーを再開するに当たって、皆様にお願いしたいことが二点ございます。確かにここの欄はインターネットで皆様に自由に見て頂けるように公開しておりますが、文責も私が負う代わりに権利も放棄はしておりません。先日、ある会員さんから「ウチの団体の審判講習会でルールの筆記試験があったのですが…分からない問題があるので教えてください」と言われ、見てみると問題文から選択肢まで全て私がここの欄に書いた文章そのままでした。引用するなとは言わないですが、その際はinfo@umpire-dc.orgまでご一報下さい。

第二に散発的にこの欄を読むだけでなく体系的にルールの勉強をして頂きたいということです。

ついに販売開始いたします。第一章「打者と打者走者」という大きな括りだけで5時間以上話しています。価格は4,500円(UDC正会員の方は3,500円)です。このeラーニングのシステムは受講開始から半年間は何時でも受講頂けますし、受講のための交通費がかかりません。パソコンだけでなく、タブレット、スマートフォンでも受講いただけるので、電車通勤をされている方は、通勤時間がルールの学習時間にして頂けます。

ジムのクリニックもそうでしたが、どうしても我々の活動が大都市、特に東京圏に集中してしまい地方の方には申し訳ない思いでいっぱいでした。しかし、我々にも自腹を切って地方に活動を広めに行くための資金もなく、知恵を絞り、株式会社キバンインターナショナル様のご協力を頂いて開講に至りました。

宜しくお願いいたします。

UDCから購入 第1章 打者と打者走者のルール(非会員・一般会員)
【今すぐ購入する】

正会員の方(UDCに年会費を一万円収めて頂いている方)はこちら!
UDCから購入 第1章 打者と打者走者のルール(正会員)
【今すぐ購入する】

クイズ186(ビギナー)

お電話で頂いた質問です。雨の中の試合で、グラウンドがぬかっている状態でプレイされていました。一死走者一塁三塁。打者はライトフライを打ち上げました。一塁走者はそのまま、三塁走者はタッグアップ。右翼手からの返球よりも三塁走者が早く本塁に触れました。三塁手が「タッグアップが早かった、ボールをよこせ!」と言ったのですが、ボールを持っている捕手には聞こえません。送球が濡れた地面に触れてしまったので、捕手は球審にボールの交換を要求しました。球審はタイムをかけて新しいボールを捕手に渡しました。次打者が打席に入って、投手が投手板についてから球審はプレイを宣告。投手は三塁にアピールのため送球しました。さて、このアピールは認められるでしょうか?
審判がとるべき正しい処置を考えてみて下さい。

前回の回答(出題者の意図は?)

正解は
打者走者に二塁を与え、走者二塁で再開
でした。

公認野球規則 7.05次の場合、各走者はアウトにされるおそれなく進塁することができる。
(g)二個の塁が与えられる場合-送球が
(1)競技場内に観衆があふれ出ていないときに、スタンドまたはベンチに入った場合。 この際は、ボールデッドとなる。
審判員は2個の進塁を許すにあたって、次の定めに従う。すなわり、打球処理直後の内野手の最初のプレイに基づく悪送球であった場合は、投手の投球当時の各走者の位置、その他の場合は、悪送球が野手の手を離れたときの各走者の位置を基準として定める。
【付記】悪送球が打球処理直後の内野手の最初のプレイに基づくものであっても、打者を含む各走者が少なくとも1個の塁を進んでいた場合には、その悪送球が内野手の手を離れたときの各走者の位置を基準として定める。

上記7.05だけでなく、「投手の投球当時」という重要なキーフレーズが野球ルールには頻繁に出てきます。公認野球規則は、この「投手の投球当時」がいったい何時なのか厳密には定めておりません。「投手の投球当時」なのだから、「投手がボールを打者に投げたとき」以外の解釈はできないはずではあるものの、米国のアンパイアマニュアルには以下の記述があります。

The time of pitch is defined as the moment the pitcher’s movements commit him to deliver the ball to the batter.

In a windup position, this is defined as the moment the pitcher begins the natural movemant associated with his delivery of the ball to the batter(i.e., the start of his windup or delivery).

From a set position, this is defined as the moment the pitcher begins the natural movement assciated with his delivery of the ball to the batter after the pitcher has come set with both hands together in front of his body.

A runner who advances while the pitcher is in contact with the rubber is considered to occupy the base last touched at the time the pitcher initiates his actual pitching motion to the batter. The pitching motion is defined as any movement which commits the pitcher to deliver the ball to the batter.

As long as the pitcher is not committed to pitch, a runner may advance and is considered to occupy the last base touched at the time the pitcher initiates his actual delivery to the batter.

The preliminary motion known as the “stretch” is not considered the start of the pitching motion.

「投球当時」とは、投手がその動きにより、投球以外できなくなった時のことである。

ワインドアップポジションでは、投球に関連する自然な動作を開始した時、(つまり、ワインドアップあるいは投球動作の開始時)

セットポジションからは投手がセットポジションに入って両手を身体の前で合わせた後に、投球に関連する自然な動きを始めたときである。

投手が投手板に着いている間にに進んだ走者は、投手が実際にピッチング・モーションに入ったときに、その最後に触れたベースを占有したものと見做される。ピッチング・モーションは投手が打者に投球するしかなくなったと判断できる動作によって判断される。

投手が打者に投球せざるを得なくなっていない限り、走者は進塁してもよく、また、投手が実際の打者に対する投球を始めたときに触れていた塁を占有していたと見做される。

「ストレッチ動作」として知られている準備動作は、ピッチングモーションの開始とは見做されない。

ということで、「投球当時」とは投手が打者に投球する以外できなくなった瞬間を指します。設問のケースでは、「投球する腕をゆっくりと大きく後ろに引いた時」のことを指します。(投球する腕を後ろに引くと同時に、普通は、自由な足が打者に向かって踏み出されます。よって「自由な足が打者に向かって踏み出された瞬間」でも良いでしょう。)

「投手板についた時」では、まだ投手板を外すことが出来ます。「セットポジションに入った時」「自由な足をあげた時」ではまだ塁に送球する可能性が残っているので、投球以外の動作もできるわけです。つまり、これらは投球当時とは言えません。しかし、腕を大きく後ろに引いた瞬間、に打者に投球することが確定しました。こうなってから塁に送球したらボークですよね。。リリースの瞬間を待つまでもなく、完全に投球してくることが確定した、この瞬間が「投球当時」です。

この185回と類似の問題を以前取り上げたときに、「ウチの団体では、投球当時は<投手が投手板についたとき>にしています。」という反論なのかよくわからない声を質問箱に頂きました。
仮に<投手当時>が<投手が投手板についたとき>とするならば、前回の出題では、打者が実際に打撃をしたときには競技場内にいなかった既に得点してベンチにいなかった走者をベンチから呼び出して三塁へ行かせなければなりません。

さらに、これがサヨナラの走者だったらどうなりますか?投球当時が「投手が投手板についたとき」ならば、まだ戻される可能性がある以上、その走者が本塁に触れた時点では試合終了にはできないですよね。内野ゴロ悪送球ではなく、ファウルでも事情は同じです。打者がファウルを打ったら、塁上の走者は投手の投球当時の塁に戻らなくてはならないのです。2ストライクだったとして、サヨナラの走者は既に本塁に触れ、ベンチに帰っている。でも次の投球をファウルか、内野ゴロの悪送球がスタンドに入った場合、「投手の投球当時」が投手が投手板についたときならば、試合終了にできないというのは不合理だと思いませんか?次の投球を例えば、打者が見逃し三振したら、サヨナラが確定するなんていうことも私は全く腑に落ちません。私の意見はこれくらいにして、以前の類題と同じ締めになりますが、

※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。

★UDC野球ルールクイズ委員会

濱野でした。
                          !無断転載禁止!