【202回】血液型の話ではないです。

ルール改正により、ルール・クイズ記事投稿時とはルールが変更されている場合がございます。
最新のルールをご確認のうえ、お読みいただきますようお願い申し上げます。

こんにちは。濱野です。

更新が滞りがちで申し訳ありません。
地方の方や二人制のリーグ戦に参加されていない方にはそのように見えているのかとも思いますが、「ルールクイズの更新がない」イコール「UDCが活動していない」ではないことはご理解頂きたいと思います。

言い訳っぽくなりますが、丁寧な解説を心がけているので「やっつけ仕事」で書きたくないと思っています。結果が導かれる理由を省いて「うるせぇ、ゴチャゴチャ質問すんな!上がそう言ってんだからそうなんだ!」式の解説(にもなっていない)によるベースボールのルール教育に皆さんは辟易しているから、この欄をご覧になっているのではないでしょうか?粗製濫造にはしたくないのです。

UDCが二人制で請け負っている準硬式の試合も春季リーグの入替戦が終わり、ようやく余裕が出てきました。これから夏休みに向けてイブニングセミナーも計画にいれておりますので、よろしくお願いいたします。

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クイズ201(エキスパート)

今回はメールで頂いた質問からの出題です。

無死走者1塁からのエンドランです。打球はレフトへの大飛球。走者が2塁を回ったところでレフトが好捕。走者は慌てて2塁ベースを踏み直して1塁を目指しているときに走路にいた二塁手と接触したと。「接触のあった瞬間」には明らかに一塁走者を刺そうとしていたのが明確だったそうです。ちなみに接触がなくても余裕でアウトのタイミングでした。

さて、あなたが審判ならばどのような処置をとりますか?

前回の回答(スクイズ・本盗の際の打撃妨害)

正解は
公認野球規則6.08(c)を適用し、プレイが一段落するまで続ける。打者走者がアウトになっているので、ペナルティを適用。ボールデッドとし、三塁走者は盗塁行為があったので得点を認めるが、二塁走者を戻し、打者走者に一塁を与える。監督は、打撃妨害のペナルティか、打者走者がアウトになる代わりにサヨナラ勝ちかのどちらかを選択することができる。
でした。

走者が三塁にいて、スクイズまたは本盗のときの打撃妨害は7.07の規則が適用されるのではないの?と思った方、よく勉強されていますね。

ルールブックを見てみましょう。

7.07 三塁走者が、スクイズプレイまたは盗塁によって得点しようと試みた場合、捕手またはその他の野手がボールを持たないで、本塁の上またはその前方に出るか、あるいは打者または打者のバットに触れたときには、投手にボークを課して、打者はインターフェアによって一塁が与えられる。この際はボールデッドとなる。
【注1】捕手がボールを持たないで本塁の上またはその前方に出るか、あるいは打者または打者のバットに触れた場合は、すべて捕手のインターフェアとなる。  
特に、捕手がボールを持たないで本塁の上またはその前方に出た場合には、打者がバッタースボックス内にいたかどうか、あるいは打とうとしたかどうかには関係なく、捕手のインターフェアとなる。また、その他の野手の妨害というのは、たとえば、一塁手などが著しく前進して、投手の投球を本塁通過前にカットしてスクイズプレイを妨げる行為などを指す。
【注2】すべての走者は、盗塁行為の有無に関係なく、ボークによって一個の塁が与えられる。
【注3】本条は、投手の投球が正規、不正規にかかわらず適用される。
【注4】投手が投手板を正規にはずして走者を刺そうと送球したときには、捕手が本塁上またはその前方に出ることは正規なプレイであって、打者がこの送球を打てば、かえって打者は守備妨害として処置される。

では、スクイズあるいは本盗でない場合の「一般規定」である6.08(c)はどうなっているでしょうか?

.08 打者は、次の場合走者となり、アウトにされるおそれなく、安全に一塁が与えられる。(ただし、打者が一塁に進んで、これに触れることを条件とする)
(c)捕手またはその他の野手が、打者を妨害(インターフェア)した場合。  
しかし、妨害にもかかわらずプレイが続けられたときには、攻撃側チームの監督は、そのプレイが終わってからただちに、妨害行為に対するペナルティの代わりに、そのプレイを生かす旨を球審に通告することができる。  
ただし、妨害にもかかわらず、打者が安打、失策、四死球、その他で一塁に達し、しかも他の全走者が少なくとも一個の塁を進んだときは、妨害とは関係なく、プレイは続けられる。
【原注】捕手の妨害が宣告されてもプレイが続けられたときは、そのプレイが終わってからこれを生かしたいと監督が申し出るかもしれないから、球審はそのプレイを継続させる。  
打者走者が一塁を空過したり、走者が次塁を空過しても、[7.04付記]に規定されているように、塁に到達したものとみなされる。  
監督がプレイを選ぶ場合の例。
壱 一死走者三塁、打者が捕手に妨げられながらも外野に飛球を打ち、捕球後三塁走者が得点した。監督は、打者アウトで得点を記録するのと、走者三塁、一塁(打者が打撃妨害により出塁)とのいずれを選んでもよい。
弐 無死走者二塁、打者は捕手に妨げられながらもバントをして走者を三塁に進め、自らは一塁でアウトになった。監督は、無死走者二塁、一塁とするよりも、走者三塁で一死となる方を選んでもよい。  
三塁走者が盗塁またはスクイズプレイにより得点しようとした場合のペナルティは、7.07に規定されている。  
投手が投球する前に、捕手が打者を妨害した場合、打者に対する妨害とは考えられるべきではない。このような場合には、審判員は“タイム”を宣告して、“出発点”からやり直させる。
【注1】監督がプレイを生かす旨を球審に通告するにあたっては、プレイが終わったら、ただちに行なわなければならない。なお、いったん通告したら、これを取り消すことはできない。
【注2】監督がペナルティの適用を望んだ場合、次のとおり解釈できる。  
捕手(または他の野手)が打者を妨害した場合、打者には一塁が与えられる。三塁走者が盗塁またはスクイズプレイによって得点しようとしたときに、この妨害があった場合にはボールデッドとし、三塁走者の得点を認め、打者には一塁が与えられる。  
三塁走者がスクイズプレイで得点しようとしていなかったときに、捕手が打者を妨害した場合にはボールデッドとし、打者に一塁が与えられ、そのために塁を開け渡すことになった走者は進塁する。盗塁を企てていなかった走者と塁を開け渡さなくてもよい走者とは、妨害発生の瞬間に占有していた塁にとめおかれる。

(今気づいたのですが、日本の場合は【注2】にも従う必要があるので、結論が変わってくるのかもしれません、所属の連盟にお問い合わせ下さい)

上記規定の文章の何処(特に本家の英文版には)にも、「スクイズ/本盗の際に打者が妨害されながらも、投球をバットに当てた場合」の記述がなく、MLB/MiLB両方のアンパイアマニュアルにも言及がありませんでした。前回の出題は、いわば「ルールブックの盲点」をついたものです。私は頂いた質問に答えを出せず、師匠ジム・エバンスに尋ねました。

曰く「7.07は捕手に妨害された結果打者が打撃行為をできず、フェアの打球を打てなかった場合に適用されるのであって、妨害されながらもフェアの打球を打った場合は6.08が適用される。理由はまさに質問のケースのように7.07を適用してしまうと、反則を犯した守備側が有利になってしまう場合があるからだ」とのことでした。

いつもながらのジムの明快な説明です!

質問の設定では打者走者が一塁でアウトになっているので、6.08が適用されることになりますが、もし妨害されながらも綺麗に安打を放ち、二塁走者が難なく生還した場合を考えたら、7.07を適用できない理由は更にクリアに理解頂けるかと思います。反則を犯した方が得をするようなルールの運用はしてはならない。スポーツマンシップの原則に当てはめて考えれば自ずと答えは出てきますね。

※各団体・連盟において上記と違う解釈をとる場合があります。ご確認下さい。

濱野でした。

7/17追記 「ルールクイズの答えが一部間違っている」とのご指摘があって訂正しました。
6.08(c)を適用するのは正しいのですが、スクイズなので三塁走者は投球と同時に本塁に向けて走っているはずですから、7.04(d)の記述の通り、6.08(c)ペナルティの適用でも得点は認められることになります。

ご指摘ありがとうございました!こういう反応を頂けると、「きちんと読んでもらっているのだな」と感じます。
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